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「道路族」は通報しても意味がない? 法律的に対処する方法を解説

2023年10月19日
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「道路族」は通報しても意味がない? 法律的に対処する方法を解説

近年では、道路上で子どもを遊ばせるなどの迷惑行為を行う「道路族」が深刻な社会問題になってきています。

具体的には、ボール遊びでの騒音や他人の敷地に飛んでいくことによる器物損壊、バーベキューによる発生する悪臭や騒音など、さまざまなトラブルが発生しています。

本コラムでは、道路族の被害にあった場合の対処法や警察に通報することの有効性などについて、ベリーベスト法律事務所 船橋オフィスの弁護士が解説します。

1、住宅街の「道路族」は社会問題になっている

まずは、近年に社会問題となっている「道路族」について、概要を解説します。

  1. (1)道路族とは

    道路族とは、自宅前やその周辺の道路上において、大きな声を出しながら遊ぶ子どもやそれを注意しない親を指す俗語です
    車の行き来が頻繁にあるような道路ではなく、住宅街や袋小路になっている道路などその地域の住民しか利用しないような道路上で多くみられます。

    「子どもが外で遊ぶことは好ましいことだ」と考える方もいらっしゃるでしょうが、公園などとは異なり、道路上は本来遊ぶ場所ではありません。
    また、道路族は道路の公共性を阻害したり周囲に住んでいる方への迷惑行為となっていたりするという点でも問題になっています。

  2. (2)道路上で子どもを遊ばせてしまう理由

    道路族が道路上で子どもを遊ばせてしまう理由としては、以下のようなものが考えられます。

    1. ① 近くに公園がない、公園に行くのが面倒
      自宅の敷地内で子どもを遊ばせることができればよいですが、かけっこ、鬼ごっこ、縄跳び、スケートボード、ボール遊びなどは広い敷地がなければ満足に遊ぶことができません。

      本来であれば公園などを利用して遊ぶべきですが、近くに公園がない地域や公園があってもいくのが面倒だと感じる方もいます。
      そのような方が、「目の届く範囲で子どもを遊ばせたい」という思いから道路上で子どもを遊ばせてしまうことがあるのです。

    2. ② 公園などでボール遊びが禁止されている
      多くの公園では、利用者や近隣住民に迷惑がかかるなどの理由で、公園内でのボール遊びを禁止しています。
      そのため、ボール遊びをしたくても遊ぶ場所がない子どもたちが数多くいます。

      自宅前の道路が交通量の少ない生活道路であった場合には、子どもにとっては最高の遊び場に見えてしまうでしょう。
      本来は親が注意すべきですが、注意せずに放置する親が多々いるのです。

    3. ③ 生活道路は敷地の延長だと考えている
      分譲地の私道などの生活道路では、住民以外の車の往来がありませんので、道路も自分の敷地の延長と考えて利用している方もいます

      道路を庭のようにして子どもを遊ばせている家庭や、バーベキューなどをしている家庭がある場合には、騒音や悪臭などが発生し道路族の問題へと発展していきます。

2、道路族の行為は犯罪?

道路族の行為は、犯罪にあたる可能性があります。
以下では、道路族が罪に問われる可能性のある犯罪について解説します。

  1. (1)道路交通法違反

    道路交通法では、交通の頻繁な道路上で球技、ローラースケートまたはこれらに類する行為をすることを禁止しています(道路交通法76条4項3号)。
    また、子どもの保護者は、交通の頻繁な道路上で子どもに遊戯をさせたり、付添いなしで幼児を歩かせたりしてはならないとされています(道路交通法14条3項)。

    道路交通法は、道路を「一般交通の用に供するその他の場所」と定義しているため、不特定多数の車などの往来があれば、公道であるか私道であるかを問わず、道路交通法が適用されます
    そのため、道路族が道路上でボスケートボードやボール遊びなどをする行為は、道路交通法に違反する可能性があるのです。
    なお、これらの規定に違反した場合には、罰金5万円が科されます。

  2. (2)器物損壊罪

    道路上でボール遊びなどをしていると近くの家の車を傷つけてしまったり、植木鉢を倒して壊してしまったりすることがあります。

    このような他人の物を損壊する行為は、刑法上の器物損壊罪に該当します。
    器物損害罪が成立した場合には、物を損壊した行為者は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料に処せられます(刑法261条)。

  3. (3)住居侵入罪

    ボール遊びをしている際に、飛んで行ったボールをとるために他人の敷地内に無断で立ち入ることがあります。

    このような行為は、刑法上の建造物侵入罪に該当し得ます。
    建造物侵入罪が成立した場合には、無許可で敷地内に立ち入った行為者は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金に処せられます(刑法130条)。

  4. (4)軽犯罪法違反

    軽犯罪法では、公務員の制止をきかずに、人声などの音を以上に大きく出して近隣に迷惑をかける行為を禁止しています(軽犯罪法1条14号)。
    公務員の制止をきかずに行為をしたことが要件となりますので、警察に通報し、警察官から制止してもらう必要がありますが、それでも騒音が止まらない場合には、軽犯罪法違反となる可能性があります。
    軽犯罪法違反となった場合には、拘留または科料に処せられます。

    なお、報道によると、日本国政府は「子どもの声は騒音ではない」ということを定めた法律の制定を視野に入れているようです。
    したがって、将来的には、子どもが騒ぐ声は騒音とはみなされない可能性もあるでしょう

3、道路族は警察に通報すべき

道路族の被害にお悩みの方は、まずは警察に通報してください。

  1. (1)警察に通報することの有効性

    道路族の行為が犯罪にあたる可能性がある場合には、警察に通報することで道路族の迷惑行為がなくなる可能性があります。

    警察に通報すると、迷惑行為をしている現場に警察官が駆け付けて、道路族に対して注意をしてくれます。
    よほど悪質な事案でない限り、すぐに逮捕されたり刑事事件として立件されたりすることはありませんが、警察から注意を受けることで、道路族が迷惑行為であることを認識して、今後は注意して行動してくれることが期待できます。

    ただし、相手から逆恨みされることがないようにするためにも、警察に通報する際には匿名で通報したほうがいいでしょう

  2. (2)自分で注意するとトラブルに巻き込まれる可能性がある

    道路族の被害に悩まれている方のなかには、自分で道路族に注意することを検討している方もいるかもしれません。
    しかし、直接に注意してしまうと、さらなる近所トラブルに発展する可能性があります。
    道路族のなかには「子どもたちを道路で遊ばせることは当たり前だ」と考えている人もいるためです。
    そのような人に注意をしたとしても、効果がないばかりか、相手から逆恨みされて、誹謗中傷や悪質な嫌がらせなどを受けるリスクがあります

    当事者同士で対応するのはできる限り避けて、警察に通報するなど、第三者に対応を委ねるべきでしょう。

4、実害を受けたなら示談交渉や民事訴訟も検討

道路族による行為で実害が発生した場合には、民事上の責任を追及することも検討してください。

  1. (1)道路族の親との示談交渉

    道路族によって、車が傷つけられたり庭木が折れたりしたなどの被害が発生した場合には、相手に対して、損害賠償を請求できる可能性があります

    実際の現場に居合わせて道路族による被害であることが明らかであれば、相手と示談交渉を進めて、損害の賠償を求めていくことになります。
    また、現場に居合わせなかった場合には、しっかりと証拠を集めることが必要になります
    証拠がない状態で示談交渉を始めても、「うちがやった証拠はない」と否定されてしまう可能性があるためです。

  2. (2)民事調停の申立て

    道路族との直接の話し合いが難しいという場合には、簡易裁判所の民事調停を利用することもできます。
    民事調停では、専門的な知見を有する調停委員が間に入って、トラブルの解決に向けた働きかけをしてくれます。当事者同士が直接顔を合わせて話し合う必要がありませんので、冷静な話し合いが期待できる手続きといえます

  3. (3)訴訟の提起

    示談交渉や民事調停では解決できない場合には、裁判所に訴訟を提起する必要があります。
    物的損害が生じている場合には、道路族に実損額を請求することができますが、精神的苦痛に対する慰謝料を請求する場合には注意が必要です。

    道路族による騒音に関しては、いわゆる「受忍限度」を超えていなければ、違法な行為とは認定されません。
    裁判で慰謝料を請求する場合には、騒音による被害が受忍限度を超えていることを立証していかなければなりませんので、被害が深刻でない限りは、慰謝料請求は現実的ではないといえます

5、道路族に損害賠償を請求するなら弁護士に相談

道路族による行為で実害が生じているという場合には、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

迷惑行為を行う道路族を相手にして、直接当事者が対応するのは、相手から嫌がらせを受けるなどの新たなトラブルの原因になりますので、できる限り避けるべきです
弁護士であれば当事者に代わって相手との交渉を行うことができますので、そのようなトラブルが発生するリスクを軽減することができます。
また、不慣れな方では示談交渉自体にストレスを感じることもありますが、弁護士に任せてしまえばそのような負担は一切ありません。

万が一、交渉で解決できない場合でも、弁護士であれば民事調停や裁判などの法的手段により解決を図ることが可能です。
道路族などの近隣トラブルは解決が難しい問題であるため、まずは専門家である弁護士にご相談ください。

6、まとめ

近年、道路族による迷惑行為が社会問題となっています。
昔であれば道路上で子どもたちが遊びまわっていてもそれほど問題視されませんでしたが、コロナ禍による在宅勤務者の増加や公園の整備などにより、現代では道路上で子どもを遊ばせることは迷惑行為であるという認識が広がっています。

このような道路族の被害をご自身で対応するのは新たなトラブルの発生を招くリスクがありますので、警察への通報や弁護士への相談をおすすめします。
道路族による被害でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所まで、お気軽にご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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