会社から自腹で資格を取得するように強制された! 費用を請求する方法は?
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会社によっては、仕事をするにあたって特定の資格や免許が必要になることがあります。また仕事に必須ではなかったとしても、会社から資格の取得が進められることもあるでしょう。
もし資格や免許の取得を会社から強制されたら、「違法ではないか?」と疑問に思う方もいるはずです。また、会社から強制されて取得した資格や免許の費用が自腹だった場合には、その費用を会社に請求することを検討する方もおられるでしょう。
本コラムでは、会社から自腹で資格取得を強制されることの違法性と費用請求の方法について、ベリーベスト法律事務所 船橋オフィスの弁護士が解説します。
1、「自腹での資格習得」を会社から強制されることがある
資格は、自分のスキルアップのために取得するものですが、会社によっては、自腹での資格取得が強制されることもあります。
たとえば、経理部では経理に関する知識を深めるために簿記の取得が義務付けられたりすることもあれば、人事部ではより専門性を高めてもらうために社会保険労務士の資格取得が義務付けられることがあります。
また、運送業では、業務の範囲を広げるためにフォークリフト運転技能者の資格取得が義務付けられることもあります。
このような資格を取得する際には、参考書や問題集などの試験勉強にかかる費用、受験料などの費用が生じます。
自分自身のスキルアップだと考えることができれば自腹での負担も納得できるかもしれませんが、会社から資格取得を強制された場合には、これらの費用が自腹になることについて納得できない方も多いでしょう。
2、会社が費用を負担しないことは必ずしも違法ではない
以下では、会社が資格取得の費用を負担しないことが違法であるかどうかについて解説します。
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(1)労働者の自腹での費用負担に根拠があるケース
労働者に自腹での資格取得を命じることは、労働者に対して、資格取得費用の支払いという負担を課すことになります。
したがって、会社が労働者に自腹での資格取得を命じるためには、労働契約上の根拠が必要になります。
労働者と会社との間の労働契約、または会社の就業規則などで「資格取得費用は、労働者の負担とする」との規定があった場合には、契約上の根拠があることから、会社は労働者に対して自腹での資格取得を命じることができます。
したがって、このようなケースでは、労働者は資格取得にかかる費用や研修費用を会社に請求することはできず、自腹で負担しなければなりません。 -
(2)労働者の自腹での費用負担に根拠がないケース
労働契約や就業規則などに「資格取得費用は、労働者の負担とする」との規定がなければ、会社が労働者に対して、自腹での資格取得を命じる根拠はありません。
そのため、資格取得を命じられた労働者としては、会社に対して費用負担を求めるか、自腹であれば資格取得には応じられないとして、資格取得を拒否することができます。
会社からの資格取得命令は、業務命令としてなされるものであるため「拒否したら不利益が生じるのではないか」と不安を感じる方もおられるでしょう。
しかし、資格取得命令自体は、適法であったとしても、労働者に費用負担を強いる根拠がない場合には、自腹での資格取得命令が違法になります。
労働者には違法な業務命令に従う義務はありませんので、それを拒否したことを理由とする不利益処分がなされたとしても、その処分は無効となるのです。
3、資格取得を強制することは違法である可能性がある
以下では、会社が労働者に対して資格取得を強制することは違法であるか否かについて、解説します。
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(1)業務に関連する資格の取得を強制することは適法
労働者は、会社との労働契約上、使用者の指揮命令に従い労働を提供する義務があります。使用者の有する業務命令権は、労務の提供に直接関係するものに限らず、労務の遂行にかからずものであれば広く及ぶと考えられています。
したがって、会社から取得を命じられた資格が会社の事業や労働者の業務に関連するものであれば、資格の取得を強制されたとしても違法とはいえません。
たとえば、経理部の労働者に簿記の取得を命じた場合や、トラックドライバーにフォークリフト運転技能者の資格取得を命じたような場合については、業務との関連性が認められやすいでしょう。
このような場合には、労働者は、会社から資格の取得を命令されたなら、それに従わなければなりません。
資格取得が面倒などの理由で会社からの業務命令を拒むと、懲戒処分などの不利益処分を受ける可能性もある点に注意してください。 -
(2)業務との関連性のない資格の取得を強制することは違法
使用者の業務命令権の根拠は労働契約にあるため、使用者の業務命令が労働契約で労働者と使用者が合意した範囲を超えている場合には、違法となります。
また、労働契約の範囲内で命じられた業務命令であったとしても、強行法規に反する場合や権利濫用と認められる場合にも違法となります。
資格の取得を命じることはあくまでも業務命令の一環として行われるものであるため、どのような資格であっても取得を命じることができるわけではありません。
会社の事業や労働者の業務と直接関係のないような資格の取得を命じることは、権利の濫用として違法になると考えられます。
また、資格取得の手段や方法が相当な範囲を超えるような場合にも、違法になると考えられるのです。
たとえば、資格試験に落ちた労働者に対し減給や降格などを予定しているような場合には、資格取得の手段が相当な範囲を超えていると評価される可能性が高いといえます。
また、業務時間中に資格試験の勉強ができず、プライベートの時間の大部分を資格勉強に費やさなければならず、それに対して一切補償がないようなケースについても、相当性を欠くために違法と判断される可能性があります。
このような違法な資格取得命令を受けたとしても、労働者には、業務命令に従う義務はありません。
また、労働者が資格取得を拒否したとしても、それに対して不利益処分を課すことはできないのです。
4、会社に不満があるなら弁護士に相談
会社の命令や対応に不満がある方は、ひとりで悩むのではなく、弁護士に相談することをおすすめします。
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(1)資格の強制取得や費用の自腹負担の違法性を判断してもらえる
業務命令の違法性を判断するためには、労働関係法令に関する理解や判例の知識などが不可欠になります。
そのため、会社から資格の取得を強制されたり、資格取得費用を自腹で負担するよう命じられたりしたとしても、ほとんどの労働者にとっては、そもそも会社の業務命令が違法なのか適法なのかを判断することも難しいでしょう。
労働問題に詳しい弁護士であれば、個別具体的な状況に応じて、資格の強制取得や費用の自腹負担の違法性を判断することができます。
資格を取得するためには、業務時間外の時間を勉強にあてなければならず、時間的にも費用的にも大きな負担となりますので、本当に会社の指示に従わなければならないかは正確に判断することが大切です。
会社からの資格取得命令に納得がいかない方は、まずは、弁護士に相談してみてください。 -
(2)資格の強制取得以外の問題にも対応してもらえる
自腹での資格取得を強制してくるような会社は、資格の取得強制自体が適法であったとしても、その他の労務管理や労働環境などに問題がある可能性が高いといえます。
その会社に勤めている労働者たちが当然のこととして受け入れているようなことも、外部の第三者からみれば、違法な扱いである可能性があります。
弁護士であれば、資格の強制取得の問題以外にも、さまざまな労働問題について対応することができます。
たとえば、「残業しているにもかかわらず、思ったよりも残業代が少ない」という場合には、未払いの残業代が発生している可能性があります。
また、上司からセクハラやパワハラを受けた場合には、会社に対して損害賠償を請求できる可能性があります。
会社が違法行為を行っている可能性を感じた場合には、適切な対応を取るため、専門家である弁護士に相談しましょう。
5、まとめ
労働者は、業務を行うにあたって会社から特定の資格の取得を求められることがあります。資格の取得は、労働者にとってもスキルアップにつながりますので、資格の取得を求められたとしてもデメリットばかりではありません。
しかし、業務と無関係な資格の取得を命じられたり、自腹での資格取得を命じられたりした場合には、直ちに受け入れることはできないでしょう。
このようなケースでの資格取得の強制は、違法である可能性もありますので、弁護士に相談することを検討してください。
会社との間の問題でお困りの方や、会社に対して法的な対応を取ることを検討されている方は、まずはベリーベスト法律事務所までご連絡ください。
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