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基本給が5万円の職場で働く労働者が知っておくべきこと

2024年01月25日
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基本給が5万円の職場で働く労働者が知っておくべきこと

2022年度に千葉県内の労働基準監督署が監督指導を行った959事業場のうち、違法な時間外労働があったものは450事業場でした。

運送業などを中心に、従業員の人件費を抑える目的で、基本給(固定給)を5万円などの低額に設定する企業があります。基本給を5万円とすること自体は必ずしも違法ではありませんが、従業員にとっては不利益な事態が生じることが多いといえます。また、常識を外れた方法で人件費を抑制しようとする会社では、残業代が未払いであったりするなどの問題が発生している可能性が高いといえるのです。

本コラムでは、基本給5万円の職場で働く労働者が知っておくべきことをベリーベスト法律事務所 船橋オフィスの弁護士が解説します。

1、基本給5万円の会社は存在する

基本給とは、従業員が毎月もらえることが決まっている賃金です
仕事の成果に応じて変動する「基準外賃金」に対して、基本給は「基準内賃金」と呼ばれることもあります。
原則として、実際の仕事ぶりにかかわらず所定労働時間を全うすれば、基本給は必ず支払われるものです。

基本給は新卒の従業員では20万円から30万円程度が標準的であり、年次が上がるに連れて昇給していくパターンが多いといえます。
しかし、基本給を5万円など非常に低額としている会社も、引っ越し会社やトラック運送業者などを中心にして存在します。
こうした会社では、極端に歩合制に偏った賃金体系を採用しているのが大きな特徴です。

基本給を5万円に設定すること自体は、最低賃金法などに照らして常に違法というわけではありません。
しかし後述するように、基本給が低すぎることによって、従業員にはさまざまな不利益が生じる可能性があるのです

2、基本給5万円でも、最低賃金法に違反しない場合がある

基本給が5万円の場合にまず問題となるのが、最低賃金に違反するかどうかという点です。

実際に基本給を5万円に設定している会社では、最低賃金法に違反しないように、賃金体系についてさまざまな工夫が行われています。

  1. (1)最低賃金の計算方法

    最低賃金額は、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」のうちいずれか高い方となります。地域別最低賃金は都道府県ごとに定められている最低賃金であり、特定最低賃金は都道府県と業種ごとに定められている最低賃金です。

    たとえば千葉県の地域別最低賃金は、令和4年(2022年)10月1日以降「984円」となっています。
    千葉県において地域別最低賃金を上回る特定最低賃金が定められているのは、鉄鋼業の「1054円」と、電子部品・デバイス・電子回路、電気機械器具、情報通信機械器具製造業の「1013円」です。

    地域別最低賃金は毎年10月ごろに見直しが行われており、2023年10月以降、千葉県の地域別最低賃金は「1026円」となる見込みです。

  2. (2)基本給5万円でも最低賃金法に違反しない場合の例

    最低賃金との比較に用いられる基礎賃金額は、実際に支払われる賃金から以下の賃金を除外した金額です(最低賃金法第4条第3項、最低賃金法施行規則第1条)。

    1. ① 臨時に支払われる賃金
      (例)結婚手当

    2. ② 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
      (例)賞与

    3. ③ 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金
      (例)残業手当、時間外手当

    4. ④ 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金
      (例)休日手当

    5. ⑤ 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分
      (例)深夜手当

    6. ⑥ 精皆勤手当・通勤手当・家族手当



    上記に該当しない賃金は、最低賃金違反かどうかを判断する際の賃金額に含めることができます。
    つまり、基本給以外にも、さまざまな手当を加算することができるのです
    したがって、基本給が5万円であっても、職務手当などの諸手当を厚めに支給することで最低賃金違反を回避することが可能です。

    また、所定労働時間を少なく抑えることで、最低賃金違反を回避する方法も存在します。残業ありきの働き方を前提として、実際にたくさん働いた従業員に対して残業代(歩合給・業績給)を支給する、という仕組みです。

    基本給を5万円に抑えている会社では、上記のような工夫を行うことで、最低賃金違反が回避されています

3、基本給が5万円しかない労働者のデメリット

以下では、基本給が5万円などの低額に抑えられている場合に、従業員に発生するデメリットを解説します。
額面としては標準的な給与を受け取っていても、知らないうちに損をしている可能性があることに注意しましょう。

  1. (1)有給休暇を取得すると、賃金が極端に減ることがある

    有給休暇を取得した従業員は、所定労働時間働いたものとみなされます。
    この場合、従業員に対しては基本給などが支払われますが、残業代や歩合給は支払われません

    基本給が低額に設定される一方で、残業代や歩合給が厚めに支給されている場合は、有給休暇の取得によって賃金が極端に減ることがあるのです。

  2. (2)職務が変わると、賃金が大幅にカットされることがある

    基本給が低めに抑えられる一方で、職務手当が手厚く支給されている場合は、職務の変更によって賃金が大幅にカットされるリスクがあります。

    基本給をカットすることは、原則として従業員の同意がなければ法的に認められません。
    これに対して職務手当はあくまでも職務の内容や負担に応じて支給されるものなので、職務の変更に伴うカットは法的にも認められやすいのです

    こうした事情をふまえて、下げにくい基本給を低く抑えながら、下げやすい職務手当を厚めに支給する会社も存在します。
    しかし、このような賃金の仕組みは、一般的な賃金の仕組みに比べて、従業員にとっては不利なものとなるのです。

  3. (3)賞与(ボーナス)が低く抑えられることがある

    基本給を低額に抑えられている従業員は、賞与(ボーナス)の金額も低く抑えられる傾向にあります

    賞与の計算方法は会社によって異なりますが、基本給をベースに賞与を計算することが一般的です。
    このような会社では、基本給が低額の従業員が受け取れる賞与額は、標準的な従業員に比べて著しく少なくなる場合があります。

4、職務手当やみなし残業代をもらっていても、未払い残業代は請求可能

基本給を5万円などの低額に抑えるような会社は、人件費を節約しようという意識が強い傾向にあります。
そのため、労働基準法に沿って残業代を支給せず、未払い残業代が発生している可能性もあるのです。

職務手当やみなし残業代を支給していることを理由に、残業代を支払わない会社はたくさんあります。
しかし、職務手当やみなし残業代などを受け取っている従業員の方も、会社に対して未払い残業代を請求できる可能性があります。

職務手当は、職務の内容や負担に応じて支給される手当であるため、本来、残業代とは別物です。
職務手当をみなし残業代(固定残業代)として支給することはあり得ますが、その旨やみなし残業代の計算方法、固定残業時間などを、従業員に対してあらかじめ明示する必要があります。

みなし残業代が支給されている場合でも、従業員に対してあらかじめ明示された固定残業時間を超過した分については、残業代請求権が発生します
また、そもそもみなし残業代制について必要事項が明示されていない場合には、すべての残業時間について残業代を請求することができます。

5、基本給5万円で働く労働者は弁護士に相談を

基本給5万円で従業員を働かせる会社では、労働条件について不適切な取り扱いが行われている可能性が高いといえます。
もし労働条件に問題がある場合や、未払い残業代が発生していると疑われる場合には、弁護士に相談することをおすすめします

弁護士は、労働契約の内容や労働の実態を、法律の専門知識に基づいて分析します。
また、会社に未払い残業代を請求する際にも、弁護士に依頼することができます。
弁護士は、労働者にとって有利な解決を得られるように、さまざまな手段で尽力いたします。

6、まとめ

基本給が5万円などの低額に抑えられている場合、額面としてもらっている給与額は標準的であっても、労働者は知らないうちに損をしている可能性があります。
未払い残業代が発生している可能性もあるため、疑問を抱かれたら、弁護士に相談することも検討してください。

ベリーベスト法律事務所は、残業代請求などに関する労働者からのご相談を随時承っております。
基本給が低すぎることや残業代が正しく支払われないことに悩まれている労働者の方は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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