無断欠勤で解雇される日数は? 解雇されないための対処法
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令和元年に千葉県船橋市に寄せられた市民法律・生活相談のうち、労働問題に関わるものは43件でした。
無断欠勤が続いたり、断続的に繰り返されたりすると、会社から解雇されてしまう可能性があります。解雇の対象となる無断欠勤の日数に明確なルールはありませんが、合理的な理由のない無断欠勤は控えましょう。もし、理不尽な理由で会社から解雇されてしまった場合には、弁護士に相談してください。
本コラムでは、無断欠勤が理由で解雇されるケースの例や解雇手続きの流れ、解雇された場合の不利益、解雇に関して会社と争う方法について、ベリーベスト法律事務所 船橋オフィスの弁護士が解説します。
1、無断欠勤が理由で解雇されるケースの例
無断欠勤を繰り返していると、会社から懲戒解雇されてしまうおそれがあります。
懲戒解雇の対象となる無断欠席の日数については一概に言えませんが、あまりにも頻繁に無断欠席をしている場合には、解雇される可能性が高くなります。
特に、以下のいずれかに該当する場合には、無断欠席を理由に懲戒解雇されてしまうリスクは高いと言えるでしょう。
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(1)無断欠勤が何日も連続した場合
従業員が何日も無断欠席を続けていると、会社としては、注意や指導を与えることすらできません。
手の施しようがないことから、懲戒解雇に踏み切る可能性があります。
なお、会社が従業員を解雇(懲戒解雇・整理解雇・普通解雇)するためには、解雇に客観的・合理的な理由があり、かつ社会通念上相当と認められることが必要となります(労働契約法第15条、第16条)。
上記の要件を満たさない場合、「解雇権濫用の法理」によって解雇は無効となるのです。
無断欠勤が何日も連続している場合には、「会社が改善指導を行う余地はなかった」と評価され、解雇権濫用の法理に抵触せず、解雇は有効であると判断される可能性が高いでしょう。 -
(2)改善指導にもかかわらず、無断欠勤が頻発した場合
一度や二度の無断欠席であれば、それだけを理由に会社が従業員を解雇することは、解雇権の濫用として無効になる可能性が高いといえます。
会社には、従業員を解雇するよりも先に、無断欠席がなくなるように改善指導を行うことが求められます。
しかし、改善指導を行ったにもかかわらず、従業員の無断欠席が一向になくならない場合には、「懲戒解雇もやむを得ない」という判断は理不尽なものではありません。
解雇権濫用の法理との関係でも、会社が根気強く改善指導を行ったことが認められたなら、解雇は有効と判断される可能性が高まります。
2、無断欠勤で懲戒解雇される際の手続きの流れ
無断欠席を理由に懲戒解雇処分を受ける場合には、以下のような流れで解雇の手続きが進行することになります。
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(1)懲戒処分について会社が審査を行う|自宅待機になる場合も
まずは、従業員による無断欠席などの就業規則違反に当たる行為に対してどのような懲戒処分を行うか、会社側が審査や検討を行います。
会社が懲戒処分を行う際には、従業員の行為の性質・態様などに釣り合った内容の処分にしなければなりません(労働契約法第15条)。
懲戒処分の内容には、一般的に主に以下のようなものが見受けられます。- ① 戒告・けん責
- ② 減給
- ③ 出勤停止
- ④ 降格
- ⑤ 諭旨解雇
- ⑥ 懲戒解雇
懲戒解雇は、懲戒処分のなかでも、もっとも重いものとなります。
なお、会社が懲戒処分の審査を行っている最中にも、従業員には会社の合理的な業務指示に従う義務があります。
会社から何らかの業務を指示される場合もあれば、審査終了まで自宅待機を命じられる場合もあります。 -
(2)会社から解雇予告を受ける
会社が懲戒解雇処分を決定すると、従業員に対して「解雇通知」が行われます。
会社が従業員を解雇する場合、原則として、30日以上前に解雇の旨を予告しなければなりません(労働基準法第20条第1項)。
ただし、会社が従業員に解雇予告手当を支払うことによって、解雇予告期間を短縮することや、即日解雇をすることができます(同条第1項、第2項)。
もし解雇予告手当が支払われていないのに即日解雇されたり、予告から30日以内に解雇されたりした場合には、労働基準法に違反している可能性が高いでしょう。
そのような場合には、弁護士にご相談ください。 -
(3)解雇される
解雇予告期間が経過したり、解雇予告手当が支払われたりした後には、従業員は会社から解雇されます。
ただし、「解雇権濫用の法理に抵触する」などの理由で、解雇が無効であることを主張する余地は残されています。
懲戒解雇処分に納得できない場合や、理不尽な解雇をされた場合には、まずは弁護士にご相談ください。
3、会社から解雇されてしまうとどうなる?
無断欠席を理由に会社から解雇されてしまうと、以下のような不利益を被ってしまいます。
解雇されると生活に困ってしまうような状況にあるなら、無断欠席はせず、会社からの連絡にはきちんと応じるようにしましょう。
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(1)収入が途絶える|ただし雇用保険を受給可能
会社から解雇された場合、当然ながら、その会社からの給与は支払われなくなります。したがって、収入が途絶えてしまうリスクがあります。
もし他に収入源がない場合には、早めに再就職先を探さなければなりません。
なお、会社から懲戒解雇された場合には、会社都合退職の扱いで雇用保険から手当を受給できます。
会社都合退職の場合、待機期間は原則として7日間であるため、8日目から手当を受けられます。
ただし、無断欠勤により会社を懲戒解雇された場合、「重責解雇」としてさらに3カ月の給付制限が行われる可能性がある点に注意してください。 -
(2)社宅制度を利用できなくなる|入居中の場合は要注意
会社の社宅に入居している場合や、社宅制度により会社を通じて住居を借りている場合には、退職に伴い入居契約も解約する必要があります。
その結果、引っ越し先を探すための費用や時間がかかる点に注意が必要になります。
特に引っ越し代は多大な金額になることが多いため、貯金がない状態であればかなりの負担となるおそれがあるでしょう。 -
(3)懲戒解雇の場合、退職金が支払われない可能性がある
会社の退職金規程に従い、懲戒解雇された従業員については、退職金が支給されなかったり減額されたりする場合が多々あります。
特に勤続年数が長い方の場合、退職金が不支給または減額となることによる不利益は多大なものになります。
「退職自体は受け入れるものの、退職金は全額支払ってもらいたい」という場合には、解雇される前に自分から退職届を提出することも検討すべきでしょう。
4、解雇理由に納得できない場合の対処法
会社の主張する解雇理由に納得できない場合には、「解雇無効を主張する」などの対応を検討しましょう。
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(1)解雇の無効・賃金全額の支払いを主張する
解雇が法的に無効である場合、解雇処分後も、従業員としての地位は維持されます。
不当解雇に遭った従業員が会社に戻りたい場合には、会社に対して、従業員としての地位の確認を請求しましょう(地位確認請求)。
また、解雇処分後に就労できなくなったことは会社の責任であるため、解雇後の賃金全額の支払いを求めることも可能です(民法第536条第2項)。 -
(2)退職と引き換えに解決金の支払いを求める
退職を受け入れる場合でも、ひとまず解雇無効による復職を請求しておき、和解交渉の中で解決金の支払いを合意する、という戦略的な対応も検討できます。
解決金額の相場は一概に言えませんが、仮に労働審判や訴訟に発展した場合には、賃金の3カ月分~1年分程度が認められることが一般的です。 -
(3)不当解雇の効力を争うための手続き
不当解雇の効力を争う手続きには、主に、以下の三種類となります。
① 協議
会社と直接話し合って、不当解雇問題の解決について合意を目指します。
② 労働審判
裁判官1名と労働審判員2名によって構成される労働審判委員会が、会社と従業員の主張を公平に聞き取った上で、両者の間で調停を試みます。
調停が成立しなければ、労働審判によって結論が示されます。
労働審判の審理は、原則として3回以内で集結するため、短期間で不当解雇問題を解決できる可能性がある点が特徴です。
ただし、労働審判に対して異議が申し立てられた場合には、自動的に訴訟手続きへと移行します。
③ 訴訟
裁判所の公開法廷において、解雇の違法性などを争います。
会社と従業員の双方は、証拠に基づいてそれぞれの主張や立証を展開した後に、その内容をふまえて、裁判所が判決を言い渡します。
いずれの手続きについても、弁護士を代理人にすれば、法的な主張を適切に展開できます。
実際の手続きや対応を弁護士に一任できるため、時間や精神的な負担を軽減できる点も、弁護士に依頼することのメリットといえます。
会社から不当解雇されてしまった場合には、お早めに弁護士までご相談ください。
5、まとめ
無断欠席を繰り返していると、会社から懲戒解雇されてしまうリスクがあります。
具体的な日数の基準はありませんが、あまりにも頻繁に無断欠席している場合には、懲戒解雇されてしまうリスクは高いと言えるでしょう。
ただし、会社が主張する解雇理由に合理性がない場合には、不当解雇を主張して復職などを要求することができます。
会社に対して不当解雇を主張する場合には、まずは弁護士にご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、不当解雇に関するご相談を随時受け付けております。
会社の主張する解雇理由に納得できない方は、ベリーベスト法律事務所にご連絡ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています