顧問弁護士のメリットとは? 選び方のポイントや具体的な活用方法
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船橋市が公表する統計データによると、船橋市には平成26年の時点で1万6000件を超える数の事業所があることがわかっています。他方、調査年は2004年と少し古い資料になりますが、日弁連がまとめた「中小企業の弁護士ニーズ全国調査報告書 (調査結果編)」によると、顧問弁護士を付けていない中小企業の割合は実に8割もあることが判明しているのです。
中小企業では「顧問弁護士なんてうちの会社には必要ない」と考えている経営者が少なくないことがうかがえます。おそらく船橋市内の事業所でも同様に考えておられるのではないでしょうか。
しかし企業を経営していく上では、取引先との契約、売掛金の回収、従業員との雇用契約、顧客からのクレームなど、さまざまな法的トラブルに対応する必要があります。また、現代は企業の規模や業種を問わず、企業のコンプライアンスが求められる時代であり、企業にとって顧問弁護士と契約することは多くのメリットがあります。
しかし、弁護士には縁がないし、どのように仕事をお願いすればいいのかもわからない、というケースが考えられます。そこで今回は、船橋市近郊で顧問弁護士との契約を考えている経営者のために、顧問弁護士のメリットや活用方法、顧問弁護士を選ぶ際のポイントなどについてご紹介します。
1、顧問弁護士のメリットとデメリット
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(1)顧問弁護士のメリット
まず、顧問弁護士と契約すると、次のようなメリットがあります。
●気軽にいつでも相談できる
顧問弁護士と契約すれば、日常的な法務問題について、相談日を予約する必要がなく電話やメールなどでいつでも気軽に相談できます。急に法的なトラブルが発生した場合でも、迅速な対応が期待できます。
●対処が早い
初めて会った弁護士には相談内容だけでなく、企業の経営状態や業務内容についても説明しなければなりません。しかし、これらを把握している顧問弁護士なら再度説明する必要がなく、企業の要望や実情に即した適切なアドバイスをすぐに受けられます。
●企業の信用度が高くなる
顧問弁護士がいるということは「法的な対応に間違いがない」という評価が得られ、企業の信用度が上がります。
●トラブルを未然に防ぐことができる
事業内容や取引内容、労働管理などの法的リスクをチェックしてもらうことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
●コストが抑えられる
トラブルを未然に防ぐことで、貸し倒れや裁判費用などのコストを抑えることができます。また、依頼によって費用が発生した場合でも、顧問料の範囲に収めてもらえる可能性があるなど、一般の依頼者に比べて割引を受けられることもあります。
●経営に専念できる
顧問弁護士が法律や条例の改正について対応してくれるため、社内体制や業務の見直しを迅速に進めることができます。また、法律問題の調査や対処などは任せて経営に専念できるため、余計な手間でビジネスチャンスに乗り遅れることが少なくなります。 -
(2)顧問弁護士のデメリット
一方で、月額の顧問料を支払う必要が生じますので、費用がかかることがデメリットといえるでしょう。日常的に法律相談をしない企業であれば、顧問契約を行うメリットが少ないと感じるかもしれません。
しかし、実は以下に述べるような顧問弁護士の活用法もあります。どちらのほうが御社によりメリットがあるか、見極めて契約を考えるとよいでしょう。
2、顧問弁護士の活用方法について
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(1)日常的なリーガル・チェック
顧問弁護士は、何か法的なトラブルが発生した場合に相談できるというだけではありません。たとえば、次にあげるような業務に対応し、日常的に法的な知識を役立て、会社の業務効率化にも貢献します。
●契約書の作成・確認
売買契約書や請負契約書、雇用契約書など、企業経営ではさまざまな契約書を締結します。しかし、契約書に不備があったり、会社にとって不利益な条項があったりしたために、トラブルに発展することがしばしばあります。
顧問弁護士に相談すれば、法的な知識と経験にもとづき、契約書の内容を確認したり、企業の特性や業務内容に合わせた独自の契約書を作成したりすることができます。
●与信管理の適正化と債権回収の効率化
不良債権の発生は、企業経営に大きな影響を及ぼします。これを未然に防ぐためには、与信管理を適正に進めることが大切です。顧問弁護士であれば、信用情報の収集や契約書の内容、担保などの債権保全について、適切なアドバイスを行います。
また、不良債権が発生した場合には内容証明郵便で督促状を送ることが一般的です。その際、書面に弁護士の記名があることで、相手に対して心理的なプレッシャーを与えることができ、任意の支払いに応じてもらえる可能性が高くなります。
●新規事業のリスク回避
新規事業を展開するにあたって、事業が法律に違反していないか、必要な許認可事項はないかなど、法的なリスクについて事前に相談することができます。 -
(2)社内トラブルにも対応
●労働問題
未払い残業代、セクハラ・パワハラ、不当解雇、男女雇用不均等などの労働問題が注目を浴びています。万が一のとき、初動対応を間違えると従業員のモチベーションの低下だけでなく、企業の社会的信用が大きく毀損されることがあるでしょう。企業の社内事情や業務内容を理解している顧問弁護士であれば、従業員や労働組合と迅速に交渉して、労働審判や裁判になる前にトラブルを解決できる可能性が高くなります。
●役員や従業員の法律相談
企業だけでなく、企業で働く役員や従業員個人の相談にも対応することができます。代理人として交渉するにあたっては、通常の弁護士費用(着手金・報酬)に割引が適用される事務所もあります。 -
(3)その他
●社内研修の講師など
顧問弁護士は、社内研修やセミナーの講師を行えることがあります。たとえば与信管理・債権回収の進め方、クレームに対する適切な対応、個人情報の取り扱い方、労務管理の進め方、パワハラやセクハラへの対応などが代表的です。従業員は要望に応じて業務に必要な最新の法律知識について学ぶことができ、社内のコンプライアンスの向上、スキルアップをめざすことができるでしょう。
以上のように、顧問弁護士を雇うことは、日常的に社内の業務を効率化し、活性化することにもつながるのです。顧問弁護士を雇うことをお考えであれば、ぜひ、次の弁護士を選ぶ際のポイントもしっかりチェックしてください。
3、顧問弁護士を選ぶ5つのポイント
顧問弁護士の有用性についてはご理解いただけたかと思います。では、数多い弁護士の中から、どのような弁護士を顧問弁護士として選べば良いのでしょうか。
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(1)企業法務や自社の業界・業務内容に詳しい弁護士を選ぶ
弁護士が手掛ける領域は、離婚や相続、自己破産などの個人の問題を扱う民事、傷害や窃盗などの刑事事件を扱う刑事、労働基準法や労働組合対策などの労働分野など、多岐にわたります。
企業の顧問弁護士の場合は、債権回収や商取引など企業法務についての知見が必要不可欠です。また、特許や著作権、IT、海外取引、消費者クレーム、不動産取引、建築取引など、自社の業界や業務内容に詳しい弁護士を選択することをおすすめします。 -
(2)親身な対応で説明がわかりやすい弁護士を選ぶ
高圧的、事務的に対応する弁護士ではなく、どのような問題でも親身になって話を聞いてくれる弁護士を選びましょう。また、一般的に、法律用語は難しくわかりにくいものです。難しい法律問題でも、丁寧にわかりやすく、依頼者が納得できるまで説明してくれる弁護士の方が、安心して依頼できるのではないでしょうか。
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(3)厳しいことでも言ってくれる弁護士を選ぶ
トラブルに直面すると、「裁判に負ける見通しが高い」「違法性が高い」など、企業にとって不都合な場面もでてきます。そんなときでも、依頼者に嫌われたくないために甘い見通しやアドバイスするのではなく、はっきりと厳しい意見を伝える弁護士のほうがよいでしょう。
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(4)いつでも連絡できる弁護士を選ぶ
法的なトラブルは緊急性が高く、スピーディーな対応が必要です。事務所に電話をしても不在がちで折り返しがない、メールをしても返信がない、休日や夜間には連絡が取れないなど、相談したくても弁護士からの回答が遅ければ、顧問契約をした意味がありません。いつでも連絡が取れて、レスポンスが早い顧問弁護士を選びましょう。
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(5)継続して契約できる弁護士を選ぶ
毎月の顧問料が高額で、経営状態がひっ迫してしまっては本末転倒です。会社の経営状態に合った無理のない顧問料で、継続して契約できる弁護士を選びましょう。
費用体系が明確で、別途で料金が発生する場合の費用や割引についてもきちんと明示してくれる弁護士なら安心です。
4、まとめ
今回は、中小企業の経営者の方に向けて、顧問弁護士と契約するメリットや活用方法、顧問弁護士を選ぶ際のポイントなどについて解説しました。厳しい経営環境の中で、コンプライアンスを意識しながらスピーディーな経営を実現していくためにも、いつでも安心して相談でき、適切なアドバイスを行える顧問弁護士の活用は必須だといえるでしょう。
顧問弁護士との契約をご検討中の経営者の方は、ぜひベリーベスト法律事務所船橋オフィスまでお気軽にご相談ください。船橋オフィスの弁護士が、御社のために最適な顧問弁護士サービスをご提供します。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています