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知的財産権の侵害を受けた場合の、差し止め請求の手続き

2023年05月16日
  • 商標・特許・知的財産
  • 差し止め
知的財産権の侵害を受けた場合の、差し止め請求の手続き

知的財産権の侵害を受けた場合や、商号などを冒用された場合などには、侵害者に対して差し止め請求を行うことができます。

差し止め請求を行う際には、法律の専門知識に基づく準備や対応が必要になるため、弁護士にご相談ください。

本コラムでは、差し止め請求について、根拠となる法律や手続きの流れなどをベリーベスト法律事務所 船橋オフィスの弁護士が解説します。

1、差し止め請求の根拠となる法律

「差し止め請求(差止請求)」とは、違法行為の差し止めを求める、法的な請求を意味します。
裁判所によって差し止め請求が認められると、行為者には直ちに当該行為をやめることが義務付けられます

私法の一般法である民法では金銭賠償の原則が採用されており(民法第417条、722条1項)、差し止め請求を認める規定はありません。
しかし、一部の権利・法律関係について適用される特別法の中には、差し止め請求を認める規定が設けられているのです。

差し止め請求を行うためには、人格権や環境権に基づく差し止め請求といった判例上の差し止め請求権はありますが、原則として、それを認める法律上の根拠が必要となります
具体的には、以下の法律において、差止請求権が認められています。

① 各種の知的財産法
  • 特許法
  • 著作権法
  • 実用新案法
  • 商標法
  • 意匠法
  • 種苗法
  • 半導体集積回路の回路配置に関する法律
など

② 不正競争防止法

③ その他の法律
  • 会社法
  • 独占禁止法
  • 消費者契約法
など


  1. (1)各種の知的財産法

    知的財産権の侵害は、差し止め請求が認められる行為の典型例です。

    知的財産権の侵害が発生すると、侵害行為をやめさせない限り、被害者の損害が拡大し続けてしまいます
    そのため、以下の知的財産法において、差し止め請求権が認められているのです。

    • 特許法
    • 著作権法
    • 実用新案法
    • 商標法
    • 意匠法
    • 種苗法
    • 半導体集積回路の回路配置に関する法律
    など
  2. (2)不正競争防止法

    不正競争防止法では「各種の知的財産法ではカバーされないが、事業者間の公正な競争の観点から不適切な行為(=不正競争)」が禁止されています
    不正競争防止法によって禁止される不正競争の例は、著名な商品等表示の冒用(名義の権利者の同意を得ないで、その名称等を使用すること)や不正利用、営業秘密の侵害行為などです。

    不正競争によって営業上の利益を侵害され、または侵害されるおそれがある者は、侵害者に対して侵害の停止や予防を請求することができます(同法第3条第1項)。
    さらに、侵害行為を組成した物の廃棄・侵害行為に供した設備の除却など、侵害の停止・予防に必要な行為を併せて請求することも可能です(同条第2項)。

  3. (3)その他の法律

    差し止め請求が、知的財産法や不正競争防止法のほかにも、以下の法律において認められています。

    (a)会社法
    • 名称または商号の使用の停止、予防請求(会社法第8条第2項)
    • 株主、監査役、監査等委員による取締役の不適切行為の差し止め請求(同法第360条、第385条、第399条の6)
    • 監査委員、株主による執行役等の不適切行為の差し止め請求(同法第407条、第422条)

    (b)独占禁止法
    • 不公正な取引方法によって利益を侵害され、または侵害されるおそれがある者による差し止め請求(独占禁止法第24条)

    (c)消費者契約法
    • 適格消費者団体による差し止め請求(消費者契約法第12条第1項)
    など

2、差し止め請求の流れ

違法行為に関する差し止め請求は、大まかに、以下の流れで進行します。

  1. ① 違法行為に関する証拠の確保
  2. ② 内容証明郵便等による差し止め請求
  3. ③ 裁判所に対する仮処分申し立て
  4. ④ 差し止め請求訴訟の提起
  5. ⑤ 強制執行|間接強制による


  1. (1)違法行為に関する証拠の確保

    まずは、差し止め請求の対象となる侵害行為の証拠を確保する必要があります。

    1. (例)
    2. (a)知的財産権の侵害
      自社の権利を侵害している商品の現物、サービスの情報、投稿内容のスクリーンショットなど

    3. (b)不正競争防止法違反
      自社の商品等表示の不正利用状況、営業秘密の流出経路に関する証拠(メッセージのやり取り、録音、ファイルへのアクセス履歴など)

    4. (c)会社法違反
      自社の名称・商号の冒用状況、取締役等による不適切行為に関する証拠(メッセージのやり取り、録音、入出金履歴など)

    5. (d)独占禁止法違反
      不公正な取引方法に関する証拠(メッセージのやり取り、録音、発注書、受注書、入出金履歴など)


    さまざまな調査方法を尽くして、できる限り豊富な証拠を収集することが大切です。
    証拠を集める方法がわからない場合や、調査に限界がある場合には、弁護士にご相談ください

  2. (2)内容証明郵便等による差し止め請求

    侵害行為についての証拠がある程度まで確保できたら、侵害者に対して内容証明郵便などを送付して、侵害行為の差し止めを求めましょう。
    侵害者が任意の差し止めに応じれば、早期にトラブルを解決することができます。

    侵害者を納得させるうえでは、差し止め請求の対象行為の違法性について、その根拠を明確に提示することが重要になります
    侵害行為の事実に加えて、集めた証拠の中から有力なものを提示すれば、侵害者が差し止めに応じる可能性を高めることができます。

  3. (3)裁判所に対する仮処分申し立て

    侵害者が差し止めに応じない場合は、裁判所に差し止めの仮処分を申し立てましょう

    仮処分とは、民事保全法に基づく保全処分のひとつです。
    訴訟の結果を待たず、侵害行為による被害の拡大を早期に食い止めるため、暫定的な処分として認められます。

    差し止めの仮処分申し立てを行うと、裁判所において侵害者とされた者(債務者)の審尋が行われます(民事保全法第23条第4項)。
    審尋期日では、裁判所が債務者から事情を聴き、差し止めの仮処分命令を発すべきかどうかの判断材料とします。審尋期日には、申立人も立ち会うことが可能です。

    審尋期日を経て、侵害行為によって申立人に著しい損害または急迫の危険が生じるおそれがあると裁判所が判断すれば、仮処分命令が発令されます(同条第2項)。
    仮処分命令が発令されると、債務者は侵害行為を停止することが義務付けられます。

    仮処分に関する審査においては、著しい損害または急迫の危険が生じるおそれがあることを、申立人が疎明しなければなりません(同法第13条第2項)。
    疎明とは、「確信とまではいかないが一応確からしい」という程度の推測を裁判官に与えることです。
    疎明のためには、侵害行為に関する証拠を十分にそろえて申し立てを行うことが重要になります

  4. (4)差止請求訴訟の提起

    仮処分命令はあくまでも暫定的なものであり、最終的には、裁判所に訴訟を提起して、差し止め請求の可否を争うことになります。

    仮処分の手続きとは異なり、訴訟では、差止請求権の存在を原告が証明しなければなりません
    証明のためには、疎明よりも高度の心証を裁判官に与える必要があるため、いっそう充実した準備を整えることが求められます。

    また、訴訟手続き自体が専門的かつ複雑であるため、法律の専門家がいない場合には、自社だけで対応するのは非常に大変です。
    訴訟の必要がある場合には、専門家である弁護士にお早めにご相談ください

  5. (5)強制執行|間接強制による

    侵害行為の差し止めを命じる仮処分命令・確定判決等に侵害者が従わない場合は、裁判所に強制執行を申し立てることができます。
    差し止めの強制執行は、「間接強制」という方法によって行います。

    間接強制とは、債務を履行するまでの間、間接強制金の支払いを義務付ける手続きです。侵害行為が停止されない場合は、停止されるまで間接強制金が継続的に発生します。
    間接強制金が支払われない場合は、侵害者の財産に対する強制執行(直接強制)が可能です。

    訴訟などと同じく、強制執行手続きについても、弁護士に依頼すれば代行が可能です

3、差し止め請求と併せて損害賠償請求も可能

侵害行為によって損害が生じている場合には、差し止め請求と併せて損害賠償請求も行うことができます。

差し止め請求が認められている侵害行為については、損害額の推定規定が設けられていることが多いです(特許法第102条など)。
実際の損害額を立証することが難しくても、推定規定を活用すれば、十分な額の損害賠償を獲得できる可能性を高められます。

損害賠償請求の進め方や、損害の立証方法などについては、弁護士にご相談ください

4、差し止め請求は弁護士にご相談を

侵害行為の証拠収集、法律構成の検討、協議・仮処分申し立て・訴訟手続きの代行など、いずれも、自社だけ対応することは難しい場合があるでしょう。
弁護士は、知的財産権侵害などに関する差し止め請求について、さまざまな側面からサポートすることができます

差し止め請求を行う際には、丁寧な検討と迅速な対応を両立させる必要があります。
他社から権利侵害を受けて、差し止め請求をご検討中の場合には、お早めに弁護士までご相談ください。

5、まとめ

知的財産権の侵害などについては、判例や各法律によって差し止め請求が認められています。
侵害された権利を早期に回復するためにも、弁護士に相談したうえで、早い段階から差し止め請求を行いましょう。

ベリーベスト法律事務所は、差し止め請求に関するご相談を随時受け付けております。
証拠収集や法的検討、実際の協議・仮処分の申し立て・訴訟などのいずれの対応もサポートして、不当に侵害された権利を早期に回復できるよう尽力いたします。
知的財産権侵害などに関する差し止め請求や損害賠償請求をご検討中の企業は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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