【後編】ネットショップを立ち上げるなら知っておきたい! 特定商法取引法上の表示事項
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前編では、特定商取引法の概要やネットショップを運営する際のルールなどについて解説いたしました。
後編では、ネットショップを運営する際の注意点や特定商取引法に違反した場合の罰則などについて船橋オフィスの弁護士が解説いたします。
4、ネットショップ運営上の注意点
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(1)表示を省略できる場合がある
特定商取引法では、一定の場合、省略しても消費者の利益を害さないと考えられる表示事項を省略できるとされています。広告の表示事項を省略するには、以下2つの条件に該当していることが必要です。
- 消費者からの請求により、広告で必要とされている事項を記載した書面 (インターネット通信販売においては電子メールでもよい)を遅滞なく提供することを広告に表示している場合
- 実際に請求があった場合に遅滞なく提供できるような措置を講じている場合
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(2)絶対に省略できない事項もある
しかし、以上の条件を満たしていたとしても、消費者の利益を害する可能性が高いためとして省略できない事項もあります。省略できない具体的な事項は以下の通りです。
- 返品に関する事項
- 申し込みの有効期限がある場合には、その期限
- 販売数量の制限や年齢制限など特別な条件商品の売買契約を二回以上継続して締結する場合の販売条件
- 請求により送付する書面の価額
- (電子メールで広告するときは)電子メールアドレス
- ソフトウェアの動作環境
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(3)返品特約はあらゆる画面に表示する
「消費者都合による返品は認めない」などの返品の特約を設ける場合、申し込みの画面だけに表示するだけでは足りず、商品説明の各箇所に表示することが求められています。また、商品ごとに返品の条件が異なる場合は、ひと目で条件の違いが分かるようにしなければなりません。
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(4)バーチャルオフィスは使えるか
どうしても自宅の住所や電話番号を公開したくない場合は、バーチャルオフィスの利用を考える方もいらっしゃると思います。従来ではバーチャルオフィスは特定商取引法上の表示では利用できないと定められていました。しかし、平成30年6月に解釈が変更され、「現に活動している住所といえる限り」住所として表記できるようになりました。
5、特定商取引法に違反したらどうなる?
ネットショップのサイトが特定商取引法に違反している場合、どのような処罰を受けることになるのでしょうか。
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(1)罰則規定
特定商取引法に違反したままネットショップの運営を続けていると、以下のような行政処分を受けることになります。
- 業務改善の指示を受ける
- 業務停止命令・業務禁止命令を受ける
- 社名や代表者名が公表される
また、悪質な場合は刑事訴追され、最大で3年以下の懲役刑を受けることもあります。
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(2)実際にあった違反事例①誇大広告による違反
あるデオドラントクリームの通信販売を行っていた業者が、本製品を利用することによりニオイの原因菌が99.9%除去され、殺菌効果が72時間継続するような表示をしていました。その裏付けとなる合理的根拠がないとされたため、消費者庁はこれを誇大広告と認定し、会社に対して3ヶ月間の業務停止命令を、代表取締役等に対しては3ヶ月間の業務禁止命令を下しました。
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(3)実際にあった違反事例②販売業者の氏名・住所・電話番号等の表示不備
ある危険ドラッグなどの通信販売を行っていた業者が、ネットショップサイトに販売事業者の氏名や名称・住所・電話番号・代表者もしくは業務責任者の氏名を記載せずにショップ運営をしていました。これに対し、消費者庁がそれらの情報の表示不備があるとして、情報を記載するように指示を出しました。
6、まとめ
通信販売を行うネットショップには、消費者保護の観点から特定商取引法をはじめとする様々な法規制があり、それらをすべて守った上で運営をしなければなりません。しかし、よほど法律に詳しい方でなければ、抜け漏れが生じることも考えられます。
ベリーベスト法律事務所・船橋オフィスでは、ネットショップを運営されるお客様のご相談にも応じております。「ネットショップを立ち上げたいが、作ったサイトが法律に違反していないか心配だ」などとお悩みの場合は、ベリーベスト法律事務所・船橋オフィスまでお気軽にご連絡の上、ご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています