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「女性雇用」は企業の義務? 男女雇用機会均等法など関連法を解説

2021年10月18日
  • 一般企業法務
  • 女性
  • 雇用
「女性雇用」は企業の義務? 男女雇用機会均等法など関連法を解説

近年では、「女性が社会で活躍する必要性」が意識されるようになってきています。

船橋市でも、平成28年4月に「船橋市女性職員の活躍の推進に関する特定事業主行動計画」が立てられるなど、女性が活躍できる社会を実現するための試みがなされているのです。

とはいえ、一般企業においてはまだまだ女性労働者の割合は低く、その状況を改善するための対策にも積極的に取り組めていない企業が多いでしょう。

本コラムでは、「女性を雇用しなければならない義務」は法律的に存在するのかどうかや、女性雇用と関係する法律の規定について、ベリーベスト法律事務所 船橋オフィスの弁護士が解説いたします。

1、女性雇用に関係する3つの法律

まず、女性の就業率をあげて雇用を促進するための三種類の法律について、解説します。

  1. (1)男女共同参画基本法

    男女共同参画基本法は、男性も女性も同じように互いの人権を尊重して責任を分かち合い、個性や能力を十分に発揮できる、「男女共同参画社会」を目指すための法律です
    具体的には、国や地方公共団体に男女共同参画社会を促進するための施設をつくって適正に運営するよう求めたり、国に積極的な差別改善措置を求めたりする法律となります。

  2. (2)男女雇用機会均等法

    男女雇用機会均等法は、雇用者が労働者の募集や採用、人員配置や昇進昇格、降格や教育訓練、福利厚生、雇用形態などのさまざまな面で、男女を「平等に取り扱うこと」を求める法律です。
    妊娠出産を理由とする不利益な取り扱いをするなどの直接的な差別だけではなく、特に理由もないのに「身長170cm以上」などという募集条件をつけるなどして間接的に女性を差別する行為も禁止されます。
    また、男女雇用機会均等では、セクハラ防止のための施策をとるように事業主に求められています。

  3. (3)女性活躍推進法

    女性活躍推進法は、「働きたい」と希望するすべての女性がその個性や能力を十分に発揮して仕事を続けられることを目的として、国や自治体、企業にさまざまな義務を課す法律です。
    具体的には、女性が活躍するための具体的な数値目標を含む「行動計画」の策定・公表、女性の職業選択に役立つ情報の公表などが、女性活躍推進法によって要求されています。

2、男女雇用機会均等法で定められている義務と罰則

女性の雇用という点に関しては、「男女雇用機会均等法」がとりわけ重要になります。
以下では、男女雇用均等法で定められている基本的な義務の内容や、違反した場合の罰則について解説します。

  1. (1)男女雇用均等法の定める義務

    男女雇用均等法では、企業に対して、正規雇用者と非正規雇用者などの雇用形態、管理的職業従事者(いわゆる管理職)への昇進など、雇用に関するあらゆる場面における男女差別が禁止されています

    具体的には、次の項目について、就業者に対して性別による差別的な取り扱いをすることが禁じられているのです。

    • 募集や採用
    • 人員配置
    • 昇進、昇格、降格
    • 教育訓練
    • 福利厚生
    • 職種、雇用形態の変更
    • 退職勧奨や定年
    • 解雇
    • 労働契約の更新


    ただし、女性の労働者数が少ない会社において男性より女性を積極的に登用するなど、差別を解消することを目的とした「ポジティブ・アクション」としての施策であれば、男女によって扱いに差をつける(女性を優遇する)ことは男女雇用均等法に違反しないと理解されています。

  2. (2)間接差別も禁止される

    直接的には性別にもとづく差別ではなくても、間接的に性別によって労働者に不利益を与えるような雇用に関する行為も、男女雇用均等法によって禁止されています。
    たとえば身長や体重、体力を採用基準としたり、「転居を伴う転勤」とを要件としたりすることは、間接差別になる可能性があるのです。

    ただし、業務を行うのに必須であるなど「合理的な理由」がある場合には、体力や身長を採用基準とすることや、転居を伴う転勤を要件とすることも認められます。間接差別になるかどうかの判断はケースバイケースとなるため、不安な場合には弁護士に相談することをおすすめします。

  3. (3)違反した場合の罰則

    企業が男女雇用機会均等法に違反している可能性がある場合、厚生労働大臣は企業へ状況報告を要求することができます。その結果として違法行為が発覚した場合は、助言や指導、勧告などが行われるため、企業は解決するための具体的な措置をとらなければいけません。

    具体的には、以下のような場合に、企業にはペナルティが適用されるのです。

    • 厚生労働大臣からの報告の求めに応じなかった
    • 虚偽の報告を行った

    ペナルティの内容としては、「30万円以下の過料」が科される可能性があるほか、勧告に従わない企業名は全国に公表されるおそれがあるのです。

3、男女雇用機会均等法とハラスメント対策

  1. (1)企業に求められるハラスメント対策

    男女雇用機会均等法では、企業に対し「ハラスメント対策」も要求されます。
    平成19年における法改正によっていわゆる「セクシャルハラスメント(セクハラ)」が禁止されて、平成29年の法改正ではいわゆる「マタニティハラスメント(マタハラ)」も禁止されるようになりました
    現在では、各事業主に対して、セクハラやマタハラをはじめとするハラスメント防止策をとるように義務づけられております。

    ● セクハラ
    「性的ないやがらせ」のことです。職務上の立場などを利用して、「性的な要求を受け入れないと不利益を与える」行為(対価型セクハラ)や、性的な言動によって労働環境を悪化させる行為(環境型セクハラ)などの種類があります。

    ● マタハラ
    「妊娠や出産する労働者に対するいやがらせ」のことです。産休や育休を取得する労働者をチームから外すなどの不利益な取り扱いやいやがらせをする行為が、典型例となります。
  2. (2)ハラスメント対策の具体的な方法

    男女雇用均等法にもとづき、企業には以下のようなハラスメント対策をとることが求められています。

    その1 従業員に対する周知や啓発
    社内全体に「セクハラやマタハラなどのハラスメント行為をおこなってはならない」と周知させ、啓発することが求められます。
    具体的には、社長自らが「セクハラは許さない」と明言したりセミナーや研修会を開いたりすることで、従業員に「当社ではセクハラは認めない」という姿勢を浸透させる、という方法があります。

    その2 相談窓口の設置、適正な運営
    企業には、セクハラやマタハラなどの差別を受けた労働者が気軽に相談できる窓口を設置することが求められます。
    相談窓口の担当者が適切に苦情や相談を処理できるように、あらかじめ教育を行ったりマニュアルを整備したりして、体制を整える必要があるのです。

    その3 相談があったときの適切な対応
    実際に従業員からセクハラやマタハラ被害が報告されたときに、適切な対応を実施できる体制を整える必要もあります。
    たとえば、被害者や関係者のプライバシーにも配慮しながら調査をすすめる、被害者がさらなる被害を受けないように人員配置を工夫する、加害者への適正な懲戒処分を検討する、などの対応を実施できるようにしておきましょう。

    その4 再発防止措置
    相談を受けて解決できた場合には、事故の再発を防止するための措置をとることも要求されます。
    具体的には、セクハラやマタハラの原因を排除するための制度変更や規則の整備、教育研修の積極化などが必要となるでしょう。

    なお、現在ではセクハラやマタハラだけではなく、パワハラについても、相談窓口を設置することが法律で求められています。ハラスメントの被害にあった従業員の利益を考慮して、これらの相談窓口は一元化したほうがよいでしょう。

4、女性活躍推進法と企業の義務

  1. (1)企業に課せられる義務

    女性活躍推進法は、国や地方公共団体、民間企業に対して、以下のような責務を課しています

    ● 社内や団体内の女性活躍状況を把握し、課題を分析する
    まずは自社内で女性がどの程度活躍できているのか、調査研究を行って現状を把握する必要があります。現状の対応では不足している部分を明らかにして、課題をあぶり出しましょう。

    ● 課題解決のために数値目標を含む行動計画を策定し、都道府県労働局へ届け出る
    明らかになった課題を解決するための、具体的な数値目標を盛り込んだ計画を立てることも要求されます。この計画を、「一般事業主行動計画」と呼びます。
    行動計画ができた後には、各都道府県労働局の「雇用環境均等部」に届け出を行いましょう。

    ● 行動計画を周知して公表する
    届け出た一般事業主行動計画は公表して、周知させることが求められます。

    ● 社内や団体内の女性活躍に関する情報を公表する
    社内の女性活躍状況や企業の取り組み状況、女性の活躍に役立つ情報を公表することも求められます。
    一般事業主行動計画を届け出た企業は、女性の活躍推進への取り組み状況が優良と判断されると、厚生労働大臣によって「えるぼし認定」を受けられます。えるぼし認定を受けたら、マークを自社商品などにはりつけて、世間にアピールすることができるようになるのです。

  2. (2)令和元年における法改正と内容の拡充

    令和元年に女性活躍推進法が改正され、以下のように内容が拡充されました。

    ● 適用企業
    これまで、女性活躍推進法が適用される企業は「常時雇用する労働者が301人以上の企業」に限られていました。しかし、令和4年4月1日に改正法が施行されると、「常時雇用する労働者が101人以上の企業」へと適用範囲が拡大される予定です。

    ● 数値目標設定と情報公表の強化
    女性活躍に関する数値目標設定方法や情報公表内容についても、取り組みをこれまで以上に促すための改正が行われました。
    具体的には、以下の2つの項目について、それぞれ1つ以上の数値目標を定めて、公表しなければなりません。つまり最低でも2つの項目について、数値目標と公表が必要となるのです。
    従来は2項目のうち1つのみの数値目標設定や公表で足りていたことをふまえると、これまで以上に企業の責務が強化されたといえます。

    • 職業機会の提供についての実績
    • 仕事と家庭生活の両立に役立つ雇用環境整備についての実績

    この規定は令和2年6月1日にすでに施行されています。

    ● 特例認定制度(プラチナえるぼし)の創設
    従来も、女性の活躍推進状況が優良な企業へは「えるぼし認定」という厚生労働大臣による認定が行われていました。
    法改正後はそれよりさらに高水準な「プラチナえるぼし」の認定制度が追加されます。
    従来「えるぼし認定」されていた企業のなかでも、実施状況が特に優れており一定要件を満たした企業には、「プラチナえるぼし」が認定される可能性があるのです。
    認定を受けた企業には、「一般事業主行動計画」の策定や届け出が免除されるというメリットが与えられます。

5、まとめ

日本は、先進国のなかでも女性の労働力率が低いといわれています。国力を増進するためには、女性が活躍できる社会の実現が不可欠となるでしょう。そのための法整備も強化されつつあり、各企業に対しても、女性雇用に積極的な姿勢をとることが求められています

ベリーベスト法律事務所グループでは「顧問弁護士サービス」を提供しております。船橋オフィスでも、多くの業種や規模の企業様について、女性雇用に関する法律的なアドバイスや計画策定などに関するご相談に対応しております。法律の規定に従って御社の競争力を高めるため、ぜひ、ベリーベスト法律事務所 船橋オフィスにまでご連絡ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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