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事実婚の解消における、慰謝料請求や財産分与の扱いを解説【前編】

2023年09月25日
  • 離婚
  • 事実婚
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事実婚の解消における、慰謝料請求や財産分与の扱いを解説【前編】

令和3年12月、船橋市では、法的結婚ができない同性カップルらを市がパートナー同士だと証明する制度「ふなばしパートナーシップ宣誓制度」が始まりました。
同性カップルは法的には「事実婚」の状態にあたりますが、パートナーシップ制度を利用することにより、住宅の同居申し込みや病院での面会申し込みなどにおける不利を緩和することが可能になります。

夫婦が離婚する際、どちらかの側が不貞行為や暴力などの不法行為を配偶者に対してはたらいていた場合には、慰謝料を請求することができます。
そして、法律上の既婚者と同様に、事実婚をしているカップルが関係を解消する際にも、慰謝料を請求することは可能です。
本コラムでは、事実婚の解消における慰謝料の請求や、財産分与や養育費の取り扱いなどについて、ベリーベスト法律事務所船橋オフィスの弁護士が解説します。



1、事実婚とは?

まず、法律上の婚姻関係と事実婚の違いについて確認しておきましょう。

  1. (1)法律上の婚姻関係と事実婚の違いとは?

    法律上の婚姻関係にある夫婦とは、結婚に際して役所に婚姻届を提出・受理されており、民法上も戸籍法上も正式な婚姻関係と認められる夫婦のことです。

    これに対して、婚姻届を提出していないために法律上の婚姻関係がないのにもかかわらず、実態は夫婦のように生活している男女を「事実婚」の関係にある夫婦といいます。

  2. (2)事実婚が成立する要件とは?

    過去の事例から、事実婚が成立する客観的な要件は以下の2点とされています。

    • 男女双方に婚姻する意思があること。
    • 共同生活、つまり同居して生計を一にしていること。

    住民票の登録についてですが、事実婚であることを明らかにしておくことは法律で義務付けられているわけではありません。それぞれを別世帯として住民票の登録をしておくことも可能です。

    ただし、住民票の続柄欄に「夫/妻(未届)」または「同居人」と記載があると、事実婚の関係にある夫婦であることの客観性がいっそう高くなるでしょう。

  3. (3)事実婚のメリットとデメリットとは?

    事実婚は、恋愛関係と法律上の婚姻関係の中間のような位置づけです。このため、法律上の婚姻関係と異なり、以下のメリットがあります。

    • 相手方と名字を同一にしなくてよい
    • 相手方と別れて事実婚の関係を解消しても戸籍に履歴が残らない
    • 夫婦間においては法律上の婚姻関係と同様の権利を得ることができる

    このようなメリットとライフスタイルや夫婦であることに対する価値観の多様化も相まって、あえて法律上の婚姻関係ではなく事実婚を選ぶカップルは増えているようです。

    その一方で、事実婚にもデメリットはあります。

    • 事実婚の配偶者は所得税における配偶者控除や医療費控除が受けられない
    • 法定相続人になれない
    • 相続したとしても最大1億6000万円までの相続税評価額に対して相続税が課税されない配偶者控除が受けられない

    このように、主に社会保険や相続の面でデメリットがあることを知っておく必要があるでしょう。

2、事実婚でも慰謝料は請求できる?

事実婚の関係にあると認められる夫婦には、法律上の婚姻関係にある夫婦と同様に民法第752条で定める夫婦の同居義務・協力義務・扶助義務が発生します。つまり、民法第770条に定める裁判で離婚の訴えを提起することができる条件が、そのまま事実婚の解消を提起することができる条件として適用されることになると考えておいてよいでしょう。

したがって、事実婚の相手方による浮気やドメスティック・バイオレンス、悪意の遺棄などの行為によって受けた精神的苦痛については、相手方に慰謝料を請求することができるのです。たとえば、性格や趣味が合わない、互いの親族と折り合いが悪い、会話が弾まないなどの理由は、法律上の婚姻関係にある夫婦と同様、単なる性格の不一致とされ、慰謝料を請求する理由にはなりません。

3、事実婚での財産分与はどうなる?

事実婚の解消時には、法律上の婚姻関係にある夫婦と同様に民法第768条第1項に基づき相手方に対して財産分与を請求することができます。

事実婚における財産分与とは、事実婚の関係になってから夫婦がこれまでの共同生活のなかで形成・維持してきた財産について、その名義に関係なく事実婚の解消時に貢献度に応じて平等に分けましょうというものです。財産分与は、預貯金や株式などの金融資産、不動産、美術品、自家用車、さらには将来支払われることが確実な退職金も対象になります。

ただし、事実婚の関係になる前から個別に所有していた財産は「特有財産」であり、その維持に相手方の協力が認められた場合でもない限りは、基本的に財産分与の対象とはなりません。また、事実婚の期間中に相手方が相続や遺贈で取得した財産についても、夫婦で形成・維持してきた財産とはいえないため財産分与の対象とはなりません。

財産分与をする・しない、および財産分与の割合や分与する財産については、事実婚を解消する際の話し合いから始まります。話し合いがまとまらない場合、調停や裁判に移行することになります。その過程で最終的に財産分与の合意あるいは判決が出されるわけですが、過去の判例や慣行面によりますと別居して実質的に事実婚を解消した時点における共有財産額の、「2分の1ずつ」とされることが多いようです。

後編では事実婚の夫婦で子どもにいる場合や相続、別れたいときにどうすべきかについて解説します。

>後編はこちら

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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