ゲームで知り合った相手と浮気している夫と離婚したい|慰謝料を請求する方法
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船橋市が発表した資料によると、令和4年度(2022年度)の船橋市の離婚件数は1231件でした。
離婚の原因としては「浮気」や「不倫」がとくに多いですが、近年ではオンラインゲームやスマホゲームなどで知り合った相手と離婚する事例が、男女ともに目立つようになっています。
近年のゲームにはSNSと同じように他のプレイヤーに連絡を取って交流を行う機能があり、同じゲームのプレイヤー同士なら話題や性格が共通していることも多いため、既婚者であってもゲーム内で知り合った相手に心を惹かれてしまうことがあるのです。
夫が浮気をしたとき、相手の肉体関係を伴う「不貞行為」であるなら、妻は夫に対して慰謝料を請求することができます。
本コラムでは、オンラインゲームで浮気がはじまりやすい理由やゲーム内で知り合った相手との浮気の特徴、慰謝料を請求する方法などを、ベリーベスト法律事務所船橋オフィスの弁護士が解説いたします。
1、オンラインゲームから浮気がはじまりやすい理由とは?
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(1)見知らぬユーザー同士で協力するゲーム
最近人気のオンラインゲームは、ゲーム上で出会った見知らぬプレイヤー同士がチームを組んで、協力しながらゲームをクリアしていくことが特徴となっています。
オンラインゲームではプレイヤー同士の協力が前提となっています。クリアのためには、強い団結力を持ったチーム作りが必要となります。そのため、オンラインゲームのプレイヤーたちは、定期的にチームで集まって作戦会議やアドバイスをおこないます。ときには、ゲーム上だけでなく、「オフ会」をおこなって実際に顔を合わせることもあるでしょう。
このように、オンラインゲームで培う人間界には「共通の趣味がある」「共通の目標を達成するためにお互いを支え合う」という特徴がそろっています。そのため、出会った相手が異性同士のときには、恋愛関係にも発展する可能性があるのです。 -
(2)お互いに助けあうなかで強い絆が生まれやすい
毎日のように同じチームメンバーで支え合いながらプレイしていると、次第に強い絆が生まれます。最初はまったく恋愛感情がなかった相手に対しても、少しずつ恋愛感情が育っていくこともあるでしょう。
オンラインゲームではひとりでもメンバーが欠けるとクリアが困難になるため、ピンチになったら他のチームメンバーが助けてくれることが多いです。とくに女性の場合は、自分のピンチを救ってくれた男性メンバーにときめいてしまうことがあります。また、はじめたばかりの初心者に対しては他のメンバーがゲームのコツを親切に教えてくれるものです。このことも、恋愛感情につながる可能性があるでしょう。 -
(3)メッセージやボイスチャットで親密になる
オンラインゲームにはチャット機能が搭載されていることが一般的です。チャットでは、ゲーム攻略の作戦会議だけでなく、普通の雑談をすることもあります。
チーム全員で参加できるチャットだけでなく、二人で交流できる“密室状態”のチャットルームを作成することもできるのです。他の人に知られることなくプライベートなメッセージのやり取りがおこなえるので、ここから恋愛関係に発展する可能性はあるでしょう。
また、文字によるメッセージのみならず、マイクをつけて声でやり取りできる「ボイスチャット」機能も普及しています。声を使った会話では相手の人柄が伝わりやすく、会話の情報量も多いため、メッセージでのやり取りよりもすぐに親密になるものです。とくに異性同士の関係では、お互いの声に惹かれて恋愛感情が芽生えるきっかけとなる、ということも多いでしょう。 -
(4)仲良くなると、連絡先を交換したりオフ会を開催したりする
ゲーム内の交流で仲良くなると、電話番号やLINEのIDを交換して、ゲームをしていないときにも電話やチャットをおこなう関係にまですすむことがあります。
また、オンラインゲームのプレイヤーたちは、ファミレスや居酒屋などに集まって実際に顔を合わせて交流する「オフ会」をおこなうこともあります。
外見が好みのタイプである異性や、ゲーム内での交流を通じて前から気になっていた異性と出会うと、その後は二人きりで会ってカップル関係になる場合もあるのです。
オンラインゲームを通じて出会ったカップルが結婚にまでゴールインすることも、最近では珍しくありません。
そして、オンラインゲームは独身の方だけでなく、既婚者の方もプレイされます。オンラインゲームでの人間関係は、配偶者と共通の友人関係や地元・職場の人間関係を介さないため、素性を偽ることが容易です。実際には既婚者であるのに、異性との出会いを求めて、独身と偽ってチャットやオフ会に参加される方もいます。そして、既婚者であっても、オンラインゲームで知り合った相手と恋愛をして浮気や不倫をおこなうことがあるのです。
2、夫がゲームで浮気している可能性があるとき、証拠をつかむ方法は?
配偶者がオンラインゲームに夢中になっており、家族に対する普段の態度が冷たくなったり不審な外出をしたりするようになりだしたら、浮気を疑うこともあるでしょう。ゲームのプレイヤー人口は男性に偏っているものですから、夫がオンラインゲームで知り合った相手と浮気をしていないか心配な女性は、とくに多いと思われます。
夫がゲームで浮気している証拠をつかむなら、夫がプレイしているゲームの履歴を調べたり、夫のスマートフォンを調べたりすることが近道ではあります。しかし、夫婦であっても、自分のものではないゲームアカウントやスマートフォンに勝手に手を出すことは違法行為となる可能性もあります。
配偶者の浮気の調べ方と注意点について、解説いたします。
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(1)ゲーム内に勝手に入ると不正アクセス禁止法違反になる?
配偶者のプレイしているオンラインゲームを調べるときには、“不正アクセス禁止法”に違反しないように、気をつける必要があります。
不正アクセス禁止法で定義されている“不正アクセス”とは、他人のIDやパスワードを無断で使用して、ネットワークにアクセスする行為です(不正アクセス禁止法第2条4項)。
配偶者のIDとパスワードを使用して、オンラインゲーム内のやり取りを無断でのぞき見ることも、不正アクセスに該当します。
そして、不正アクセスをおこなうと、「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」を科されるおそれがあるのです(不正アクセス禁止法第11条)。
違法に収集した証拠は、民事訴訟においても証拠能力が否定される可能性があります。証拠収集をするときには、法律に違反しない方法で慎重におこないましょう。 -
(2)オンラインゲームについての知識を得る
配偶者がプレイしているゲームにアクセスしなくても、配偶者との会話や普段の様子から怪しい点に気が付いて、証拠をつかめる可能性があります。
とくに、相手がプレイしているゲームの内容について自分も知識を身に付けていれば、会話のなかにふくまれるウソや矛盾に気が付きやすくなります。
たとえば、夫が浮気相手とチャットしている内容がゲームとは関係のないことに気付きやすくなるでしょう。
また、夫婦での会話の内容は普段から日記などに細かく書き記しておきましょう。夫がゲームについて話していた内容などを記録することで、後で読み返したときに、他の証拠と合わせて浮気の存在をつかむきっかけとなる可能性があります。 -
(3)LINEやメールの履歴からラブホテル密会などの証拠を収集する
夫がオンラインゲームで出会った浮気相手とLINEや電話をしている場合は、その証拠を残しておきましょう。
とくに、LINE履歴に肉体関係を匂わせる文章や画像がふくまれている場合は、強力な証拠となる可能性があります。
オフ会や密会などを通じてオンラインゲーム外で会っている場合の証拠収集方法については、基本的に通常の不倫と同様です。
LINEや通話履歴のほかに、以下のようなものも証拠となる可能性があります。- ラブホテルの領収書
- 自動車のETCの履歴
- SNSへの投稿
- スマートフォン端末に保存されていた性行為中の画像・動画
- ラブホテルに出入りする写真
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(4)困ったときには、探偵に依頼することも検討する
夫がラブホテルに出入りする場面や、浮気相手とデートをしている現場を撮影できたら、有力な証拠となるでしょう。
しかし、顔をよく知られている配偶者の場合は、尾行や張り込みが発覚しやすいというリスクもあります。
また、オンラインゲームで知り合った相手との浮気は、職場や友人などのつながりの外にいる相手となるために、他の浮気と比べても情報収集が難しくなります。
そのため、プロの探偵に依頼して、不倫現場の写真などの証拠を手に入れてもらうことも選択肢のひとつです。
調査や追跡のプロである探偵なら、証拠を入手できる可能性も高くなります。
3、ゲーム内で浮気した夫や浮気相手に慰謝料を請求することはできる?
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(1)ゲーム内だけの交流では“不貞行為”とは言えない
原則として、肉体関係がないと、民法上の不貞行為(民法第770条)には該当しません。
ゲーム内で楽しくチャットしているだけでは、不貞行為とは認められない可能性が高いでしょう。
たとえ「好きだよ」などの恋愛感情があることが明らかなメッセージを送り合っている場合や、夫が相手に対して恋愛感情を抱いていることが明白な場合でも、肉体関係がなければ、浮気していること自体を理由に離婚したり慰謝料を請求したりすることは困難です。
オフ会などを通じて実際に会っていた場合でも、肉体関係がなければ、法律上の「不貞行為」とはみなされません。そのため、食事やお出かけを一緒にしただけでは、慰謝料を請求できる可能性は低いでしょう。 -
(2)ゲームにハマりすぎて結婚生活が破たんした場合
法律上の不貞行為が認められなかったとしても、夫があまりにもゲーム仲間の女性に夢中になりすぎて、結婚生活が破たんする事例が考えられます。
その場合は、民法第770条1項5号の離婚事由“その他婚姻を継続しがたい重大な事由”に該当する可能性があります。
具体的には、仕事から帰ってきたらオンラインゲームばかりをして夫婦の会話がない、家事・育児に協力せずオンラインゲームばかりしている、夫がオンラインゲームにお金をつぎ込んで家計がひっ迫している、などの状況が考えられます。
このような事例では、夫に対して慰謝料を請求できる可能性もあります。
ただし、オンラインゲームの向こうの女性はチャットしている相手が既婚者であることすらも知らない可能性があります。肉体関係も結んでいないことから不貞行為にもあたりません。そのため、相手の女性に慰謝料を請求することは困難でしょう。
4、夫のゲーム内浮気で悩んでいるなら弁護士に相談したほうがいい理由
ゲームを通じた不倫は、現代ならではの新しいかたちの不倫と言えるでしょう。しかし、不倫相手と肉体関係を持たれて配偶者が精神的苦痛を負うことや、配偶者以外の相手との恋愛に深入りしたために結婚生活が破たんするという事例では、他のかたちの不倫と問題の本質は変わりません。
ゲーム内で知り合った相手と浮気している夫との離婚や、夫への慰謝料の請求を検討している方は、ぜひ、弁護士にご相談ください。
そもそも夫の行動が不貞行為に該当するのか、慰謝料を請求できるかどうかなど、法律の専門家である弁護士が判断いたします。
また、法律違反を犯さずに、民事訴訟で提出することのできる浮気の証拠を収集する方法についても、弁護士がアドバイスいたします。
5、まとめ
配偶者がゲームで知り合った相手と浮気している事例では、恋愛がゲーム内だけで完結している場合も多いです。その際には浮気相手との肉体関係はないので、不貞行為を理由にして慰謝料を請求することは難しくなります。
しかし、もしも相手との肉体関係があれば、慰謝料を請求できる可能性はあります。また、ゲーム内で完結する恋愛関係であったとしても、そのために結婚生活が破たんしているのなら、法律上の「離婚事由」にあたり、慰謝料を請求できる可能性があります。
配偶者のゲーム内不倫で悩まされている方は、ぜひ、ベリーベスト法律事務所 船橋オフィスの弁護士にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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