【前編】親が自己破産したとき子どもが受ける影響は? 弁護士が解説
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親に借金があったら、子どもはどのような影響を受けてしまうのでしょうか。船橋市内にお住まいの方でも、不安を抱いている方は少なくないと考えられます。自己責任論が渦巻く中、子どもは親の借金について肩代わりするなどの責任を取らなければならないのでしょうか。
借金が膨らんでしまう原因は、体調不良から始まったケースや、パチンコなどのギャンブルや浪費癖、または事業で発生した借り入れなど、千差万別でしょう。子どもとして重要なのは、親が抱えた借金の巻き添えにならないよう気をつけることです。
本コラムは、親がした借金が子どもに与える影響や、親の借金に巻き込まれないための方法について解説します。
1、親の借金を子どもが背負う必要はある?
自分の親が借金を抱えていたら、気になるのは子どもである自分への影響です。親が作った借金や負債について、無条件に子どもにも支払い義務が発生するのでしょうか。
ここでは、親の借金が子どもに与える影響について解説します。
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(1)親の借金を子どもは背負う必要はない
基本的な考え方として、親が作った借金を子どもが支払う必要はありません。なぜなら、原則として、借金などの債務は個人に帰属するもので、支払う義務は債務者である親にしかおよばないためです。
借金をする際には金銭消費貸借契約を締結するのが一般的です。債務者である親のみが契約するならば、子どもには借金を返済する義務は生じません。いくら債権者に求められても、あなた個人が支払わないよう気をつけてください。 -
(2)連帯保証人になると借金を返さなくてはならない
直接、借金の契約者になっていなくても、債権者から返済を迫られる場合があります。
ひとつは、借金の連帯保証人になっている場合です。連帯保証人になると、契約者である債務者に連帯して債務を保証することになります。したがって、ご自身にも支払い義務が生じるおそれがあります。連帯保証人になることは可能な限り避けましょう。 -
(3)相続すると借金を背負う可能性もある
ほかにも、親の借金を背負わなくてはならなくなる場合があります。それは、親が死亡して親の借金を相続した場合です。
相続の方法は複数あり、プラスの財産もマイナスの財産もすべてを相続する単純承認を選択した場合は、親が抱えていた借金を引き継ぐことになります。借金などのマイナスの財産のほうが多いときは、速やかに相続放棄の手続きを行うことをおすすめします。
2、自己破産とはどのような制度?
抱えていた借金を返せなくなってしまった際に利用できる制度として、「自己破産」があります。自己破産をすると借金や負債がなくなり、支払いから解放されますが、もちろんメリットだけではありません。
ここでは、自己破産の概要と手続きについて解説します。
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(1)自己破産とは?
自己破産とは債務整理のひとつで、借金や負債を抱えていた人が債務超過に陥り返済ができなくなった際に、財産を清算して借金を返済したうえで、残った借金について、免責を受けることにより、支払いをなくす手続きのことです。
国が認めている正式な救済措置ですが、税金の滞納など、一部の借金については免責が認められないという点に注意してください。 -
(2)自己破産の手順
自己破産から免責を得るには厳格な手続きを経る必要があります。
まずは裁判所に対して破産の申し立てを行い、認められると破産手続きが開始します。申し立てから破産手続開始決定までは、本人の資産調査をはじめとして、多くの手順を踏む必要があり、数ヶ月単位の期間が必要です。
多くの方は自己破産をするのは初めてのはずです。法律事務に詳しくない限り、手続きに不安があるでしょう。また、弁護士等に依頼しない場合は、債権者への連絡も自分自身で行わなければなりません。場合によっては穏便に手続きを進めることが困難になる可能性をはらんでいます。
破産手続きを滞りなく完了させるには、弁護士に一任することをおすすめします。 -
(3)自己破産が与える影響
自己破産、免責が認められると、晴れて借金から解放され、新たな人生を始めることができます。
しかし、当然ながら自己破産が認められた場合のデメリットが複数あります。
●新たな借り入れが一定期間できなくなる
信用情報に記録が残り、新たな借り入れができなくなります。そのため、自己破産から一定期間は、住宅や車のローンを組むことが難しくなり、新たにクレジットカードを作ることもできなくなります。
●不動産などの財産を失う
自己破産をする方の住宅が賃貸であれば問題ありません。しかし、自己破産する方の名義の不動産がある場合は、基本的には手放す必要があります。
●国が発行する官報に氏名や住所が掲載される
官報とは、国が発行する新聞のようなものです。裁判手続きを通じた債務整理をすすめるとき、何らかの理由でその手続きに参加できない債権者に対する告知として、あなたの情報が官報に掲載されます。個々で連絡することが把握できない、もしくは連絡が取れない債権者に向けて行われる、必要不可欠な情報公開です。
ただし、官報は、一般の方が目を通しているケースは非常に少なく、過去の情報については原則有料でなければ閲覧することもできません。したがって、特段の事情がない限り、官報に氏名などが掲載されることによる不都合はないと考えられるでしょう。
後編では、実際に親が自己破産したときに子どもが受ける影響から、自己破産以外の債務整理方法について、ベリーベスト法律事務所 船橋オフィスの弁護士が解説します。
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- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています