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自己破産をすれば損害賠償義務はなくなる?|免責されない場合を解説

2023年08月31日
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自己破産をすれば損害賠償義務はなくなる?|免責されない場合を解説

司法統計によると、2020年(令和2年)に全国の地方裁判所で受理された自己破産事件の件数は7万8906件でした。
大型商業施設「津田沼パルコ」が2023年(令和5年)2月末に閉店するなど、船橋市にも不景気の波は押し寄せており、破産を検討されている方も多いと考えられます。

自己破産を検討される場合には、破産をしても免責されない債務が存在することに注意してください。
具体的には、悪意で加えた不法行為にもとづく損害賠償や故意または重過失の不法行為にもとづく損害賠償は、自己破産をしても免責されないのです。
本コラムでは、自己破産における損害賠償債務の扱いについて、べリーベスト法律事務所船橋オフィスの弁護士が解説します。

1、自己破産の概要

自己破産とは、裁判所から借金の返済が不可能だと認められた場合に、借金の支払い義務が免除される手続きです。

手続きの流れとしては、まず「破産手続き」によって、債務者が本当に借金を返済できない状態なのかが調査されます。最低限の財産を除いてマイホームなどすべての資産は原則、債務の返済に充てられます。

次に「免責手続き」が行われます。これは、裁判所が債権者の意見も考慮したうえで、免責許可を決定します。この2つの手続きは別のものですが、自己破産する目的は免責許可の決定得ることにあるため、両者はともに行われることになります。

2、免責される債務と免責されない債務がある

自己破産が認められると、消費者金融やクレジットカード会社からの借金、滞納している家賃、誰かの借金の連帯保証人となっている債務など、本来であれば支払うべき債務のほとんどが免責となります。

ただし、破産法第253条第1項では、次の7つを非免責債権として定めています。つまり、次に挙げた負債は自己破産をしても免除されず、支払う必要があるということです。

  • 税金
  • 悪意で加えた不法行為にもとづく損害賠償債務
  • 上記のほかに、故意または重過失によって他人の生命または身体を害する不法行為にもとづく損害賠償債務
  • 婚姻費用や養育費など
  • 個人事業主が未払いにしている従業員の給料や預かり金
  • 破産の際の債権者名簿に記載しなかった債権
  • 罰金など

3、自己破産しても免責されない損害賠償債務とは

上記に説明したように、損害賠償債務は原則的に免責されない非免責債権となります。しかし、すべての不法行為にもとづく損害賠償請求権が非免責債権となるわけではありません。

  1. (1)悪意で加えた不法行為にもとづく損害賠償

    この規定は不法行為の対象を限定していませんが、「悪意」を必要としています。ここでいう悪意とは、他人に対して積極的に害を加えてやろうという意思を指します。つまり、悪質な不法行為を想定しています。

    具体的には、DVが原因で配偶者と離婚した場合の慰謝料などが該当します。このような損害賠償責任はたとえ自己破産をしても免除されない可能性が高く、自己破産後にも支払いが必要になります。

  2. (2)故意または重過失の不法行為にもとづく損害賠償

    誰かの生命や身体を害する不法行為ですから、被害者を保護する必要性が相当に高くなります。よって、前述のような「悪意」がなくとも、故意または重過失によるものであれば損害賠償の支払額は免責されません。

    たとえば、暴力事件を起こして人間を死傷させた場合や、飲酒運転や無免許運転、ひき逃げなどの悪質な交通事故を起こしたときの損害賠償債務が該当します。他方、重過失とまではいえない交通事故による損害賠償責任は免責される可能性があります。また物損事故も人間の生命や身体を害するものではないため免責されるでしょう。もっとも、悪意のある物損事故であれば免責されない可能性は残されます。

4、手続きのうえで気を付けたいこと

借金が免責される方法がほかにないのか、気になる方も多いのではないでしょうか。しかし、「免責不許可事由」に該当する行為をしてしまうと、本来免責されるものが免責されなくなります。そこで、注意すべき点について述べていきます。

  1. (1)免責不許可事由とは

    免責不許可事由は破産法第252条第1項にて1号~11号まで定められており、下記のような行為が該当します。

    • 債権者を害する目的で財産を隠したり不利益な処分をしたりすること
    • 破産する前にクレジットカードで買い物をし、それを売りさばいて現金化する
    • 一部の債権者を優先し、他の債権者に損をさせる目的で返済する
    • 浪費やギャンブルによって借金をつくる
    • 自分の収入を偽って借金をつくった
    • 自己破産をして7年がたっていない
    • 破産法上の義務違反

    このほか、自己破産の手続きに際してなされる、書類を改ざんする、債権者名簿を偽るなど、破産手続き上の虚偽や不正、妨害などの行為も該当します。自己破産制度自体、誠実な債務者であれば免責して、経済的更生を支援してあげようという趣旨ですから、不誠実な行動をすると許可されないことになるわけです。

  2. (2)裁量免責を得るためには

    免責不許可事由に該当する場合でも、裁判所の裁量で免責が許可される場合があります。これを「裁量免責」といいます。本来であれば免責が許可されないにもかかわらず、免責してもらえるのですから、根拠が必要です。主には次の3つがポイントになります。

    ●反省の度合い
    口頭で反省を述べる機会もありますが、加えて反省文の提出を裁判所から求められる場合もあります。

    ●破産手続きへの協力姿勢
    裁判所の調査に誠実に対応する、破産管財人や弁護士に協力することなどが必要です。

    ●経済的に立て直る可能性
    今後、経済的な更生が見込める点を主張します。たとえば家計収支表を作成して提出するなどし、現在は金銭管理がしっかりできていることを示します。

5、自己破産しても損害賠償債務が残るなら弁護士へ相談を

ご自身に支払い義務のある損害賠償債務が非免責債権にあたる場合、残念ながら支払いから逃れることはできません。しかし、自己破産をすることでほかの借金が免責されれば、残された債務である損害賠償債務だけは何とか支払っていけることもあるはずです。その意味では、自己破産する意味は大きいといえます。

損害賠償責任を果たすためにも、申し立ての書類に不備がないよう、誠実な対応をしてください。手続きや書類の書き方に不安のある方は、弁護士に手続きや書類の作成を依頼し、アドバイスをもらえば、免責許可を得られる可能性が上がります。

また、弁護士に相談するメリットは、それだけではありません。自己破産の手続きを弁護士に依頼した時点で、あなたへの督促を一時的にストップさせられるというメリットもあります。

他方、損害賠償債務以外の債務を免責されても、そもそも損害賠償債務が高額で、とても払えないケースもあるでしょう。この場合は債権者と個別の交渉をするしかありませんので、弁護士に依頼する必要性がいっそう高まります。免責されない損害賠償債務であること、金額が高額であることは、ご自身の非によって相手方が甚大な損害を被ったことを意味しています。したがって、個人同士の交渉では、事態の悪化や難航が予想されます。それでも、ないものを支払うことはできません。交渉次第では相手方が説得に応じ、減額してくれる余地はあります。この点、交渉に慣れた弁護士であれば、相手方の心情に配慮しつつ、減額を求めることも不可能ではありません。後日トラブルになってしまう事態を防ぐためにも弁護士に相談すべきでしょう。

6、まとめ

今回は、自己破産をしたら損害賠償債務の支払い義務も免除されるのかという疑問に対して、免責される債務や免責不許可事由、その対処法について回答しました。

損害賠償債務の中でも免責されるものと、そうでないものがあります。まずはご自身の損害賠償債務がどのような性質をもっているのか判断することが大切です。しかし、これは一般の方が判断することは難しいため、速やかに弁護士へ相談された方がよいでしょう。

ベリーベスト法律事務所船橋オフィスでは、経験豊富な弁護士がご相談をお受けします。状況に応じた適切なアドバイスをいたしますので、ぜひ一度気軽にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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