子どもが逮捕されたら?その後の流れや、就職や進学に与える影響を解説
- 少年事件
- 逮捕されたら
平成30年の千葉県で刑法犯として検挙された総人数は8464人であり、そのうち未成年は1069人でした。
自分の子どもが逮捕されてしまうと、突然の事態にどうしたらよいかわからず、戸惑ってしまうものです。また、前科が付いてしまった場合に本人の就職に与える影響も心配になるでしょう。
自分の子どもが逮捕されたときには、早期の段階から弁護士に依頼することが重要となります。弁護士であれば、逮捕された被疑者といつでも面会をすることができます。また、弁護活動によって起訴を回避したり、身柄を早期に解放できたりする可能性もあるのです。
本コラムでは、逮捕された後の流れや身柄の拘束期間、逮捕されることがその後の就職などに対して与える影響、早期の段階から弁護士に依頼するべき理由について、ベリーベスト法律事務所船橋オフィスの弁護士が解説いたします。
1、子どもが刑事事件の被疑者として逮捕されたら
なんらかの犯罪の容疑により警察に逮捕されてしまった被疑者は、身柄を拘束されて、取り調べを受けることになります。逮捕後すぐに外部と連絡を取ったり、家族と面会したりすることはできません。
逮捕されてからの流れについて、解説いたします。
-
(1)逮捕後の身柄拘束は最大72時間におよぶ
警察官に逮捕されると、身柄を拘束されて、取り調べを受けることになります。取り調べは最長で48時間かけて行われます。取り調べの結果、微罪処分で釈放になるか、検察への送致が行われるかが決定されます。
検察に身柄を引き渡された後にも、最長で24時間拘束されます。そのため、警察と検察をあわせて、最長で72時間、身柄が拘束される可能性があるのです。
その間に、“勾留”の請求をするかどうかを検察官が決定します。多くの場合では証拠隠滅を防止するために勾留請求が行われ、裁判所もその請求を認めることになります。 -
(2)勾留請求が通ると、最長で20日間施設で拘禁される
勾留は、検察官が裁判官に対して請求します。裁判官が許可すると、被疑者は刑事施設で過ごすことになります。大半の場合、警察署の留置所に勾留されることになるでしょう。
捜査の必要があるが勾留されなかった場合は、そのまま釈放となり、“在宅事件”として扱われます。在宅事件となった場合には身柄を拘束されずに通常通りの生活を送れますが、警察や検察から呼び出しがあった際に取り調べを受けなければいけません。
勾留請求を受けた裁判官は被疑者と面談を行って、事件について質問をします。その面談の様子から、拘束するか解放するかの判断を下すことになるのです。
勾留期間は、原則として10日間です。しかし、必要性が認められた場合は、さらに10日間延長される可能性もあります。つまり、最長20日の間、外部と連絡を自由に取れない状態で勾留されることになるのです。また、起訴されると、保釈されない限り、判決まで引き続き身柄を拘束されることになります。 -
(3)勾留中は家族でも自由に面会できない
通常、ご家族の方が勾留された当人と面会できるようになるのは、逮捕から3日後以降となります。また、面会は自由にいつでも行えるわけではありません。面会が可能な時間は限定されており、平日の9時〜17時までとなります。また、15分から20分の制限時間が設けられているのです。ただし、勾留されている施設によって、面会時間は多少前後します。
そして、面会は警察官の立ち合いが条件となります。また、接見禁止となっている場合には、面会をすることはできません。 -
(4)起訴後は被告人として裁判を受け判決が下される
勾留期間の満了までに、検察官は事件の起訴・不起訴を判断します。起訴された後は略式手続きか正式裁判となり、担当する検察官が、事件の性質や重さを考慮しながら判断します。
略式手続きは簡易的な裁判のため、1日のうちに審理が終わって釈放となります。通常の裁判のように検察官と弁護士が討論を行うこともなく、過去の判例などを参考にしながら罰金や科料が算定されて支払い命令が下されるのです。
正式裁判では、略式手続きでは済まされない事件を取り扱って審理します。公判は1回から3回以内で終結することが多く、起訴から判決までの期間は約2ヵ月から3ヵ月ですが、事件によってはさらに長引く可能性があります。
2、子どもが逮捕されたら就職にどんな影響があるのか
逮捕された人は会社をすぐに解雇されてしまうなど、さまざまな悪い事態を想像してしまうでしょう。しかし、逮捕されたことが必ずしも解雇に直結するわけではありません。
逮捕後に考えられる人生への影響について、解説いたします。
-
(1)逮捕を理由とした解雇は不当と判断される場合がある
日本の司法では“推定無罪”が原則となっています。逮捕された人であっても、有罪が確定するまでは、犯罪者として取り扱うことは認められないのです。また、被疑者として検挙されても不起訴で終わる場合もあります。そのため、逮捕されたことだけを理由にして解雇されたことは、不当だと認められる可能性があるのです。
-
(2)会社の業務と無関係の場合に解雇は不当とされる場合がある
有罪と判決された後にも、会社の業務に関係のない私生活上で犯した罪を理由に解雇することは、不当と判断される場合があります。ただし、会社の規定であらかじめ定められている場合には、解雇が正当だと認められる可能性が高いでしょう。
-
(3)面接や履歴書における前科の回答が必要になる
就職や転職をする際には、履歴書を提出したり面接をしたりする必要があります。このとき、有罪判決を過去に受けて前科が付いている場合には、その事実を回答しなければいけません。
たとえば、履歴書には賞罰欄という項目が設けられていることがあります。過去に有罪判決を受けており、前科がある場合には、賞罰欄に記入します。なお、不起訴になったり無罪判決になったりした場合には、履歴書に記入する義務はありません。
また、面接で前科や前歴を質問された場合にも、正直に答える義務があります。前歴とは、過去に被疑者として捜査対象になり、逮捕された事実を指します。前歴や前科について正直に申告しなかった場合には、内定取り消しや解雇処分にされるおそれがあるのです。
3、子どもが逮捕されたとき弁護士に相談・依頼するべき理由
もし自分の子どもが逮捕されたときには、逮捕後にご家族の方が行った対応が、子どものその後の人生を左右する可能性もあります。ご家族の方には、速やかに弁護士に相談することをおすすめします。
-
(1)被疑者と自由に面会できるのは弁護士だけ
先述した通り、ご家族の方が逮捕された被疑者に面会できる日時は限定されており、面会時間にも制限があります。しかし、弁護士なら、制限なく被疑者と面会することができます。また、被疑者がご家族の方や勤務先に伝えたい要件などを、弁護士が代わりに連絡することも可能です。
-
(2)弁護活動により不利な事態を回避する
逮捕された被疑者は、取り調べを受けることになります。このとき、不利な調書を作成されると、起訴される可能性が高くなってしまいます。また、取り調べは連日行われるために辛さや疲労も溜まり、取り調べから早く解放されるために事実ではないことを認めてしまう被疑者も多いのです。
ご家族の方が逮捕されたら、早期に弁護士に依頼することで、弁護士は被疑者本人と接見して取り調べに関するアドバイスをすることが可能になります。また、示談交渉による解決や嫌疑を晴らす証拠を起訴前に集めるなどの弁護士活動によって、起訴を回避することや被疑者の身柄の早期解放にもつながるのです。
4、まとめ
今回は、子どもが逮捕された後の流れ、逮捕後の人生の影響、弁護士を利用するメリットについてご紹介しました。
子どもが逮捕されたときには、速やかに弁護士に相談することが大切です。逮捕された直後から弁護活動が開始されることにより、起訴の回避や早期の身柄解放につながります。弁護士であれば、状況を改善させるためのアドバイスも可能です。また、ご家族の方が被疑者と面会できる時間は限られていますが、弁護士を通して子どもに励ましの言葉を伝えることもできるのです。
千葉県で子どもが逮捕されてしまいお困りの場合は、ベリーベスト法律事務所・船橋オフィスまでご連絡ください。刑事事件の経験が豊富な弁護士が、ご家族の力になります。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています