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有罪判決が下ったらどうなる? 示談を行い不起訴を目指すべき理由

2021年03月30日
  • その他
  • 有罪判決
有罪判決が下ったらどうなる? 示談を行い不起訴を目指すべき理由

千葉県警の発表によると、令和元年の船橋市では人口1万人あたり72.4件の犯罪が発生しました。
犯罪を犯して検挙された人の多くは、裁判を経て有罪判決を受けることになります。

裁判で有罪判決を受けると、執行猶予が付いたり1万円以下の「科料」で済まされた場合にも、「前科」が付いてしまいます。
前科の存在は、その後の人生の様々な局面において不利益をもたらしてしまいます。
そのため、刑事裁判で起訴される可能性のある人は、被害者と示談交渉を行って不起訴処分を目指すことが重要になるのです。
本コラムでは、「前科」の定義や前科によってもたらされる社会的影響、有罪判決を回避するための方法について、ベリーベスト法律事務所 船橋オフィスの弁護士が解説いたします。

1、有罪判決を受けると前科が付く

  1. (1)有罪判決と前科の関係

    ある人が逮捕されたとき、その後に起訴されて刑事裁判で有罪判決を受けた場合には、その人には前科が付くことになります。
    逆に言えば、逮捕されても、有罪判決を受けない場合には、その人には前科は付かないのです
    日本の刑事司法では、「推定無罪」が原則となっています。そのため、逮捕されても、刑事裁判を経て有罪判決が確定するまでは、その人が「罪が犯した」ということは法律的には定まらないのです。

    一方で、千円以上一万円未満を支払う「科料」の判決や執行猶予付きの判決などであっても、有罪判決が下された場合には、罰の軽重に関わらず前科が付くことになります。

  2. (2)前科は記録に残る

    前科が付いても、住民票や住民基本台帳、戸籍などに記載されることはありません。また、判例においても、前科はみだりに公開されるべきものではないとされています。
    しかし、裁判で有罪判決となって前科が付くと、市町村役場の犯罪人名簿および検察庁のデータベースに登録されることになります。このため、「過去に有罪判決を受けた事実がある」という記録は残ってしまうのです

  3. (3)前歴と前科の違い

    前科と混同されやすい言葉として「前歴」があります。
    前歴は、「過去に被疑者として警察などの捜査機関による捜査の対象となった事実」を示すものです。
    たとえ警察に逮捕されたとしても、不起訴処分などで有罪判決にならなったときには、前科ではなく前歴が付くことになります。また、たとえば万引きや痴漢などで微罪処分(検察に送検されず、警察だけで捜査・処分が終わること)になった場合にも、前科は付きませんが、前歴が付くことになるのです

2、前科が付いたときに受ける社会的影響

  1. (1)就職上の不利益

    会社などの求人広告で「前科者は応募不可」などと明記されていることはめったにないでしょう。
    しかし、一部の職業では過去に有罪判決を受けた事実が「欠格事由」となり、その職業に就くことができないのです。

    ●公務員
    禁錮以上の刑が科された場合、その執行が終わらないかぎり採用に応募することは不可(国家公務員法第38条第1項および地方公務員法第16条第1項)

    ●宅地建物取引業者
    禁錮以上の刑が科された場合、その執行が終了または執行されなくなった日から起算して5年以内は免許欠格(宅地建物取引業法第5条第1項第5号)

    ●医師
    罰金以上の刑が科された場合、医師免許交付不可の場合あり(医師法第4条第3号)

    ●公認会計士、税理士、司法書士、行政書士
    禁錮以上の刑が科された場合、その執行を終了または執行を受けることがなくなってから3年を経過するまではなれない(公認会計士法第4条第3号、税理士法第4条第5号、司法書士法第5条第1号、行政書士法第2条の2第3号)

    ●弁護士、裁判官、検察官などの法律家
    禁錮以上の刑が科された場合はなれない(弁護士法第7条第1号、裁判所法第46条第1号、検察庁法第20条第1号)

  2. (2)履歴書への記載

    求職するときに、「前科がある」という事実を履歴書の経歴欄に記載する必要は、基本的にはありません。

    しかし、履歴書のフォーマットによっては、「賞罰の有無」というような記載欄があります。
    ここでいう罰とは、一般的に、「刑事罰」であるとされています。つまり、前科が付いた場合には、賞罰欄への記載が必要となるのです。
    刑事罰を受けていて前科があるのにもかかわらず、「賞罰の有無」欄に記載しないことは、履歴書の虚偽記載にあたります。仮に就職できたとしても、前科が存在するという事実が就職後に発覚した場合、就業規則によっては「経歴詐称」として解雇される可能性があるのです

  3. (3)自治体への届け出義務

    性犯罪は、他の犯罪に比べて再犯率が高いとされています。
    そのため、性犯罪の前科者に対して、氏名や住所などの個人情報の届け出を義務付けている自治体もあるのです

    たとえば、大阪府では、「大阪府子どもを性犯罪から守る条例」が制定されています。
    この条例の第12条では、過去に18歳未満の子どもに対して性犯罪を犯して、その罪に関係する刑期を満了した日から5年以内に大阪府内に引っ越しを行った人に対して、引っ越しをした日から14日以内に、以下の情報を届け出することが義務付けられているのです。

    • 氏名
    • 住所
    • 性別
    • 生年月日
    • 連絡先
    • 届け出に係る罪名
    • 刑期の満了した日


    この届け出をしない場合や、は虚偽の届け出をした場合には、同条例第18条の規定に基づき五万円の過料が科されます。
    また、福岡県においても「福岡県における性暴力を根絶し、性被害から県民等を守るための条例」によって、大阪府と同様の規定が設けられています。

    さらに、日本政府は令和2年から令和4年までの3年間を性犯罪・性暴力対策の「集中強化期間」と定めています。
    そして、再犯防止のため、仮釈放中の性犯罪者に対するGPSの装着を義務化することも検討されているのです。
    アメリカや韓国などの諸外国では、刑期を満了した人であっても、性犯罪の前科があればGPSにより数十年間の監視の対象となる場合があります。
    「プライバシー権の侵害」などの批判もある制作ですが、性犯罪に対する世論が厳しくなり厳罰化を求める声が高まれば、日本でも同様の政策が実施される可能性はあるでしょう。

  4. (4)前科履歴の記録

    刑法第34条の2では、有罪判決により受けた刑の消滅にかかる年数、つまり「前科が法律的に消滅するための年数」が、以下のように規定されています。

    • 禁固刑以上の刑……10年
    • 罰金以下の刑……5年


    上記の年数を経過した前科者の情報は、市区町村の犯罪者名簿から削除されます。

    ただし、犯歴事務規程第18条に基づき、警察や検察のデータべースには「犯歴管理の記録」、すなわち逮捕歴があることの情報が、本人の死亡まで残ります。
    したがって、新たな罪を犯して起訴された場合には、法律的に消滅したものであったとしても、前科が存在するという事実が検察の側から裁判所に提示されてしまう可能性が高いでしょう。そして、前科の事実は量刑の決定において不利にはたらくのです

    また、法律的には前科が消滅したとしても、前科者の個人名や逮捕されたという事実がインターネットで検索されてしまうおそれがあります。インターネットのニュースサイトやブログ、掲示板などに書かれた情報は、該当サイトの管理人が記事や書き込みを削除しないかぎり、Googleなどの検索結果に表示されてしまう可能性が残りつづけるからです。

  5. (5)海外への入国やパスポート取得の制限

    アメリカやカナダ、オーストラリアなどは入国審査が厳しく、前科者は入国が難しい場合があります。
    また、旅券法第13条では、以下の事由に該当する人に対するパスポートの発給がなされない場合がある、と規定されているのです。

    • 死刑、無期もしくは長期2年以上の刑が科される罪で訴追されている場合
    • 上記の罪を犯した容疑で逮捕状、勾引状、勾留状もしくは鑑定留置状が出ている場合

3、示談交渉を行い、不起訴処分を目指す理由

前科を付けないためには、有罪判決を回避することが重要になります。
日本では、いちど刑事裁判で起訴されると、きわめて高い確率で有罪となってしまいます。したがって、刑事罰を犯した容疑で逮捕された場合には、裁判まで持ち込まないために不起訴処分を目指すことが必要となるのです

不起訴処分を目指すための代表的な方法が「示談」です。示談とは、刑事・民事上の紛争を、裁判によらず当事者同士の話し合いで解決する手続きのことになります。
被害者の示談交渉を成立させられると、被害者からの被害届や告訴届の提出の中止、あるいは取り下げによって、不起訴処分となることが期待できます。

起訴をされる前に示談交渉を成立させるためには、早い段階から対応を開始する必要があるでしょう。しかし、刑事事件においては被害者は加害者に対して敵意や恐怖を抱いていることが多く、加害者本人が被害者と示談を行おうとしても、交渉を成立させることは難しいのです。
そのため、刑事事件で起訴をされる可能性が生じた場合には、速やかに弁護士に相談して、被害者との示談交渉を弁護士に代行させることが重要となります

4、まとめ

刑事罰を犯して逮捕されて、起訴をされてしまうと、きわめて高い確率で有罪判決となります。
有罪判決となると「前科」が付き、仮に執行猶予となったりごくわずかな金額の過料で罰則が済んだりしたとしても、その後の人生の様々な局面で不利な事態が生じる可能性があるのです。
そのため、速やかに弁護士に相談して被害者との示談交渉を行い、不起訴処分を目指すことが重要になります。
ベリーベスト法律事務所 船橋オフィスでは、示談交渉の経験豊富な弁護士が、刑事事件に関する相談を承っております
刑事事件で起訴される可能性があり、不安を抱かれている方は、ぜひ、ベリーベスト法律事務所 船橋オフィスにまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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