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出張による移動時間や労働時間に含まれるか? 休日労働や残業についても解説

2023年07月31日
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出張による移動時間や労働時間に含まれるか? 休日労働や残業についても解説

令和5年3月、JR京葉線に新しく「幕張豊砂駅」が開業しました。西船橋駅には乗り換えなしで約11分で到着するほか、東京駅にも約35分で到着するため、旅行や出張にも便利な駅だといえます。

会社から出張を命じられたとき、電車やバスでの移動が労働時間に含まれるかどうかは、支払われる給与などにも関わってくるため労働者にとっては大きな関心事であるでしょう。
また、出張のために休日に移動した場合には休日手当などが支払われるか、出張先のホテルで仕事をした場合には残業代が請求できるかどうかなども重要なポイントです。
本コラムでは、出張での移動や残業が労働時間に含まれるか否かについて、残業代や休日手当との関係について、べリーベスト法律事務所船橋オフィスの弁護士が解説します。

1、知っておきたい労働時間の考え方

出張における労働時間の問題を考える前に、労働基準法における労働時間の基本的な概念について知っておきましょう。

  1. (1)法定労働時間とは

    法定労働時間とは、労働基準法32条で規定されている、労働時間の限度のことです。法定労働時間は原則として1日8時間まで、1週間で合計40時間までです。法定労働時間を超える分の労働は、残業に該当します。

    たとえば、就業規則に労働時間は1日9時間と記載されていても、原則として、法定労働時間を超える1時間分については通常の労働時間には該当しません。1時間の残業という扱いになり、残業代の支払い対象になります。

  2. (2)残業(時間外労働)とは

    前述の通り、労働基準法における時間外労働とは、法定労働時間(原則として1日8時間で1週40時間)を超えて行われた労働のことです。いわゆる残業とは、この時間外労働のことです。また、超過勤務や超勤も残業と同じ意味の言葉であり、時間外労働に該当します。

    時間外労働の原則的な例は下記の通りです。

    • 1日に10時間労働した場合……2時間分
    • 週に43時間労働した場合……3時間分


    もしも従業員などの労働者に対して時間外労働を命令する場合、労働者と使用者(経営者)の間で「時間外・休日労働に関する協定」を締結し、労働基準監督署に届け出ることが労働基準法によって義務付けられています。これが一般に36(サブロク)協定と呼ばれるものです。

    36協定を締結して届け出をした場合、一定の条件のもとで法定労働時間を超えての労働を命じることができますが、使用者は労働者に対して原則として残業代を支払う必要があります。なお、残業代は労働基準法では割増賃金と呼ばれます。

    法定労働時間を超えて労働する場合の残業代は、時間内の勤務よりも賃金を割り増しして支払わなければなりません。割増率は残業した合計時間などで異なりますが、最低でも25%の割増率になります。

  3. (3)休日出勤(休日労働)とは

    休日出勤とは、「法定休日」や「法定外休日」に労働者に労働させることです。労働基準法では休日労働といいます。
    労働基準法では、週1回以上または4週に4日以上の休日を労働者に与えなければならないことが規定されています。労働者の心身の健康を確保するうえで、休日は非常に重要だからです。これを法定休日といいます。

    ●法定外休日(所定休日)とは
    法定休日以外にも、企業によっては就業規則でそれ以上の休日を設定しているところもあります。これを法定外休日といい、一般的には所定休日とも呼ばれています。週に1日ではなく週2日の休みを与えるなどです。
    サービス業などを除く企業の労働契約においては、毎週の土曜・日曜日が休日として規定されていることが多いでしょう。

    法定休日に休日出勤として労働させる場合、平日の勤務よりも賃金を割り増しして支払う必要があります。休日出勤の割増率は最低でも35%で、時間外労働や深夜労働が加わる場合は割増率がさらに増加します。
    なお、法定外休日(所定休日)に休日出勤した場合は、法定労働時間内であれば、割り増しなしの通常賃金と変わらない額になります。

2、出張に伴う移動は労働時間になるか?

出張に伴う移動が労働時間にあたるのかを解説していきます。

  1. (1)移動は原則として労働時間にあたらない

    出張する場合、現地に着くために電車やバスなどで移動する必要があります。移動のために電車やバスに乗っている時間は、労働時間に含まれるのでしょうか。

    この点、単に目的地に移動するために乗車しているだけの場合は、原則として労働時間に含まれません。そのため、移動時間については企業から賃金が支払われることはないでしょう。

    移動時間中は、乗り物から降りることはできませんが、読書や睡眠などのある程度自由な行動ができます。このため、移動のための乗車は原則として労働時間に含まれないのです。

    ただし、労務管理や勤怠管理の負担を軽減するために、就業規則の規定によって乗車中も労働時間とみなし、賃金を支払う企業もあります。

  2. (2)終業時刻後に出張で移動したケース

    では、出張で現地入りするために終業時刻後に電車やバスで移動した場合、乗車時間は労働時間に含まれるのでしょうか。

    このケースも、単に目的地に到達するために乗車しているのであれば、労働時間に該当しません。飲食やスマホの操作などが自由にできるため、労働にはあたらないとされるからです。

    したがって、労働時間に該当しないため残業(時間外労働)問題も生じません。また、労働に該当しないことから、深夜労働や時間外労働の禁止にも原則として抵触しません。

  3. (3)例外として労働時間に該当するケース

    移動のための乗車であっても、例外として労働時間に該当する場合があります。単に乗車しているだけでなく、乗車中に遂行しなければならない業務がある場合です。

    たとえば、乗車中に貴重品や機密書類などを運搬している場合や、要人の護衛や病人の看護をしている場合などです。これらは乗車中に業務に従事し、労働しているといえるため、労働時間に含まれます。

3、休日を含む出張は休日労働になるか?

出張中に休日を含む場合の処理について、ケースごとに解説していきます。

  1. (1)出張の期間に休日を含む場合

    出張期間に休日を含む場合、休日労働に該当するのでしょうか。

    具体例としては、土日休みの企業が月曜日から次週の月曜日までの計8日間にわたる間張を命じた場合、通常は休日である日曜日が休日労働に該当するか、といったケースです。

    この場合、通常は休日である日曜日に具体的な業務をするようなスケジュールや指示がない場合には、原則として休日労働に該当しません。出張中であっても休みをとって休息できるからです。

    一方、日曜日にも業務が必要になるスケジュールや指示がある場合には、毎週1回休日を与える使用者においては、休日に労働をさせていることになるので、休日労働に該当します。

  2. (2)出張のために休日に移動する場合

    では、休日に出張のために移動する場合は、休日労働にあたるのでしょうか。

    具体例としては、土日休みの企業で従業員が出張を命じられ、日曜日に電車で移動して現地入りするケースなどです。

    この点については、出張のために乗車している時間が労働時間に含まれるかと同様に考えます。単に移動のために乗車している場合は、拘束時間中の自由時間にすぎないため、休日労働には該当しません。

    一方、乗車中に要人の護衛や貴重品の運搬などの業務に従事している場合は、乗車中も労働しているといえるので休日労働に該当します。

4、出張中の残業に残業代は支払われるか?

滞在先のホテルで深夜に書類を作成するなど、出張中にも残業をすることがあります。出張中に残業をした場合、その分の残業代が発生するのか解説します。

  1. (1)残業が会社からの指示に基づく場合

    この場合に、従業員が会社の指示を承諾し、私的な行為と分けて労務を提供したといえる場合には、残業代が発生します。

    このような会社の指示は、たとえば、「出張期間中に、資料を必ず完成させるように」などの指示があり、その資料の作成が通常、残業が必要なものであれば、会社の指示による残業と言えることが多いでしょう。

    もっとも、その業務に専念した時間を具体的に証明する必要があります。

  2. (2)会社からの指示に基づかずに残業した場合

    この場合に働いた時間は、残業代の発生する労働時間とは認められないでしょう。

5、まとめ

出張で移動するために電車やバスなどで移動した場合、乗車中にある程度自由に行動できるため原則として労働時間に該当しません。また、出張の期間に休日が含まれている場合も、休日に休めるようなスケジュールであれば休日労働にあたりません。
しかし、休日も労働しなければならないスケジュールや指示がある場合、例外として休日労働になります。

このように、残業代は労働内容やその背景事情によって支払いの発生の有無が変わります。本来は労働時間や休日労働に該当しそうなケースにもかかわらず、会社の都合で賃金や残業代が支払われていないかもしれない等、お悩みの場合は、ベリーベスト法律事務所 船橋オフィスにご相談ください。労働問題の解決に向けて経験豊富な弁護士がサポートいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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